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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック

そして、その男性を見るなり、声をあげて腕を組みに行ったり、話しかけたりする女性陣・・。サングラスとマフラーで、まるで不審者みたいだったけど私にはハッキリと誰か分かる。勿論、他の女の子達も誰かを理解したから、声をかけに行ってるんだろう。


ジーンズに真っ白のコート。
マフラーは有名なイギリスブランドの目印でもあるチェック柄だ。

腕をあげたときに、見える時計は
シンプルで品がある。-・・こんな格好いい外国人を私は1人しか知らない。


「ハンソ「小百合!!」


サングラスをとって、いきなり抱きしめてくる彼。

かわいいけどー・・苦しいよ。


「まさか、来ているとはね・・・。」
「ブリトニーに誘われたのよ。マークスのフィアンセ」

「あー。なるほど。何か頼んだ?」

「オーパスワンをね。」


「そうか、じゃあ僕も小百合と一緒に飲むよ。
今日はやつれてるんだ。」

「別に来年もあるじゃない?」


「君に“勝って”とお願いされるのは
最初で最後かもしれないよ。そんな試合で負けるなんて、男失格だね」

「馬鹿なこという暇あるなら、来年ブエノスに余裕で勝てる様に作戦会議でもするべきよ。」


「はは!本当にキツいなぁ」

「私は、あれだけでも満足だわ。確かに結果は変えれない・・・。でも、あなたが柳沢に決められた先点を見事に返した真実も、又、変えられないものよ」


「ーー・・。」



「確かに勝ってほしかった。でもね、決勝戦を目の前で見れて、あなたにスタジアムの中で抱きしめられたことは何よりもうれしかったの。それだけで満足じゃない?」


「私は満足よ。あなたにキス出来たしね」



“恋”に気付いてからの行動は早い。
別に隠す必要も無いんだから、そのままの気持ちでいくべきだ。



「小百合ー・・・。僕は君が居ないとダメかもしれない」

「情けないわね~ほら、しゃきっとしなさい!」

ウェイターから貰った、ワインで軽くハンソンの頭をはたいてから、グラスに注ぐ。

結構な目線を感じるー・・。スタジアムを出る時に、感じたモノと同じ類。


だけど、まぁ嫉妬心のほうが多いかな?


何てったって、あのハンソンに抱きしめられて、
一緒にワインを飲んでるんだもん。女性なら誰でも経験したいことのはずだ。
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