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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
ーーー翌朝。私は、いつも電話越しに聞いていた、低くてしゃがれた声をすぐ側で聞く事になる。
キングサイズのベッドは、何回寝返りしても絶対に落ちないし、誰にもぶつからない。
「小百合、起きて。朝だよ。」
「もうちょっとだけ。」
「駄目だ。朝食の予約したから。ほら。」
と声をかけられ、薄々目をあける。
そこには、腕を伸ばしてくれているハンソンの姿があった。
窓からは、カーテンをすり抜けて
太陽の光が見える。ー・・そっか、昨日あのまま・・。
「起こして。」
と手を出すと、腰に腕を回して
優しく私を抱き上げてくれる。
そして、お姫様抱っこでソファーまで連れて行ってもらった。眠たい時と寝起きは甘える、それが私の特徴なのかな?
「おはよう、お姫様。」
と差し出されたのは、冷たい緑茶。
これは助かった。ちょっと二日酔いかもしれない。
「ありがとう。」
一気に喉を潤わせて、
机の上に置いてある煙草に火をつける。
「ごめんね、ハンソン。吸わせて頂戴・・って、あれ?これ新品?」
吸いなれたピースの箱は新しい物に変わっていた。
まだ残りあったはずなんだけどなーー・・。
「君が煙草吸うのは知ってるよ。はじめてあった時もずっと吸っていたしね。ちょっと銘柄調べて、買ってきたんだ。」
「あら、気が利くのね。ありがとう。」
「お礼を言ってばっかだね。やめてくれ、こちらも気を使うよ。好きな女の子に尽くすのは当たり前さ」
「あー思い出した!私が昨日ー・・眠る前にいった言葉聞こえた?」
「まさか!僕が聞き逃したと思ったのかい?!そんな訳ないだろう。ちゃんと聞こえたよ。君もー・・僕を愛してくれているって、やっと分かる事が出来た。」
と触れるだけのキスをされる。
ったく外国人は朝からアツアツだなぁ。
と笑いながら心の中で呟き、彼の頭を撫でてからバスルームへ向かった。
「朝食何時からー?」
「10時だよ。あと一時間半だ。」
「オッケー。シャワー浴びて、用意するわね。」
「あぁ。僕も仕事の用事を終わらせておくよ。」
まるで、夫婦の様な会話にお互いおかしく思ったのか、彼からも笑い声が聞こえた。
こんな微笑ましい気分で朝を迎えられるなんて
私は想像さえもしていなかったかもしれない。