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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
9時30分。ハンソンがお手伝いさんに自宅から持ってきてもらったと言っていた彼の車でレストランへ向かう。
いつの間にか、彼も着替えていた。
黒色の無地のシャツに白のベスト。
そして、これまた黒色のスキニーに、ブーツ。
フレッシュな林檎の香りを漂わせている。
彼の服の趣味は私と合うかもしれない。
まぁー・・ベストもジーンズもすべて最高級品のものだから、品質は違うけれど。色の合わせ方に親近感を覚えた。
一方、私はと言うと
夜のパーティーに備えて、訪問着を着ている。
緑色ベースで所々に桜が散りばめられてある。
帯は赤色だ。派手だけど、悪くない。
着替えた私をみて、頬を赤らめていたハンソンのおかげで、何となく自信が付いた。
彼の車のシートは勿論皮張り。
フェラーリやポルシェなどのスポーツカーではなく、レクサスだった。しかも右ハンドル。
まさかの日本産って事に驚いたのは紛れもない真実。
話を聞いていて思ったけど
見栄の為におかねを使わないタイプなんだろう。
自分が本当に良いと思った物を買うー・・
だけど、募金活動やボランティア活動には熱心らしい。ちょこっと調べたウィキペディアに、そう書いていた。
本来のお金持ちの姿なんだなぁと思う。
確かにー・・彼と結婚したら幸せに暮らせそうだ。
何と言っても、優しいしね。
優しさっていうのは、顔やスタイルより重要。
「曲は、これでイイ?」
「ローリングストーンズね。大好きよ。」
サッカーが上手い人は運転も上手なのかな?
なーんて思うほど、彼の運転はトビ抜けて上手い。
周りの事をしっかりと気にしているが
のろのろとする事はないし、ひとつひとつの動作が丁寧だ。
「和食だよ。」
「嘘?本当?それは嬉しい。」
「僕も軽く二日酔いなんだよ。
こんな朝っぱらからハードなモノは食べれないしね。」
「確かに。和食は腹持ち良いわりにあっさりしてるもん」
「そうなんだよ。シーズン中に、よく食べるよ」