この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気
「あんたが一番ウルサイわよ」
「さぁー・・。」
「はぁ?おめー今何て言った?」
「貴方が一番うるさい。謝ってもらってるんやからそれでいいんちゃいますの?何て言われたら満足しはんのよ。お金目当てですって言われたいん?もしくは抱いてほしいって言われたいん?それで満足しはんの?」
「おめぇー・・っ!」
「だってそうやろう?この子は、自分が悪いと思ったから謝ってるのに貴方は“違う意味”を彼女に言わせようとしてはるやないの。結局自分の望んでる答えは何ですの?」
「もういいよ、さぁ。」
「良くない。ここまでいわれといて平然としてたらアカン。由香は謝ったんやからそれでいいねん。問題はそこからやろう?そこから後は、この人が100%悪いやないの」
「いい加減にしろよ、この貧乏人!!」
とグラスを私に投げつけてくる。自慢できることではないが反射神経はビックリするほど鈍い。こんなの避けれる筈が無い。
「おい、響。この子怪我してんじゃねーか。障害で訴えられるぞ」
やっとこさ口を開いた遥くんは割と、現実的な事を言う。
「訴えたらいいじゃねぇか。事務所が報道をもみ消すよ。金なんぞいくらでも払ってやる。とにかくここから失せろ!」
右目から涙をポツリー・・と流しながら、私の元へ駆け寄ってくる由香の頭をしっかりと抱き寄せる。
「響子さん、お騒がせしてすみません。」
「いいえ、それよりー・・怪我・・。ガラスで切れちゃってる。」
「大丈夫。いくらですか?」
「御代はいただけないわ。怪我させちゃったのに。」
「ー・・そうですか。そしたら、これチップです。受け取ってください。」
財布の中に二万円だけ残し、残りの現金を全てカウンターの上に置く。10枚束になっている万冊が5つ。全部で50万円だ。五年近く前、投資するのをあんなに夜な夜な悩んでいた金額を何も考えずに、今ここで出すことになるとは思っても無かった。