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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気


「行くで、由香。」
「う・・・うん。」

「さぁちゃん、待って!」

と止めている響子さんの言葉には耳もくれず、涙で目が黒くなっている由香の手をしっかりと握りしめ、店を後にした。

無責任なことをしてしまったが、あの後どうなるかなんて同じ様な商売をしていた経験がある人間なら誰でもわかる。女の子達がお客さんに謝って、とりあえず要らない話をしてその場を盛り上げていくのだろう。

響くん達は、飲み直しっていう名目で違う店に移るに違いない。

とりあえずあの金額は「謝罪金」だ。



「ごめんね、さぁ。」
「気にしやんでて。久しぶりに会うたんやし気持ちが高ぶるのは仕方の無い事やさかいに。」


「ありがとう。」


「とりあえず、私は代行呼ぶから、由香は早く帰り。ここからやったらまだ終電あるんちゃう?」
「終電はあるけど。」


「送ってほしいん?」


「違う。このまま帰るのは悪い。」


「由香らしいなぁ。じゃあ今度ネイルからヘアカットから全部無料でしてくれへん?それでお互い文句無しにしよう。」



「小百合ーー・・・。」




「はよ行きよ。終電!」



「ありがとう!明日連絡するから!」


と元気よく言ってくる由香。

「うん。待ってる。おやすみ。」

小さく手を振り、車にもたれ掛かって代行に電話をする。15分後に来るということで、タバコに火をつけて夜風を浴びながら落ち着きを取り戻そうと試みる。

隣のレクサスは真っ黒で、輝きを放っている。
真っ黒のレクサスもイカツイが、怒ったときの響くんの方が絶対にイカツイだろう。

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