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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第7章 波乱の幕開け
「あなた、自分が言ってる言葉の意味分かってる?」
「はぁ?ナメてんのかよ」
「どっちがよ!いきなり籍を入れてくれなんて・・・そんなお願い聞き受けれるわけないやろう?」
「まーたヒステリック」
「ぜんぜん違う。声も大きくないし、誰にも迷惑かけてないやん。
これはヒステリックじゃない。ただの“正論”よ」
「お前が、この条件飲まないなら、俺が週刊誌にすべてをリークするだけの話だ」
「えぇ。勝手にしたら?
あんたと結婚するほうが、私の人生真っ暗よ!」
「あっそう。」
机の上に置かれてある、注文の品をストローで飲みながら
軽やかな指先で、何やら携帯を触っている彼。
ありえない、ってかそれ以前にぜんぜん理解できない。
私が、彼と籍を入れる?
理由も何も聞いていないのにー・・。まず、第一、なんで私?
薬指の指輪の女性はーーー・・?
彼は籍を入れる行為をいったい何と思っているんだろう?
気持ちもないのに、お願いを聞き入れて
結婚するなんて、そんなの身分を売ってるのと一緒だ。
で、四ヶ月したら別れる・・・?
なんで私が、戸籍上に“バツイチ”を残さないとダメなのよ。
由香と同じ弾丸トークが脳内ではじまってくる。
もう一度開いた口は止まらない。
それは隣に住んでいたおばぁちゃんが一番よく知ってるだろうー・・・。
そして、それを見ていた蓮も。
まさか男性の前で、この姿を見せる事態になるとは思いもしなかったけど。
「あ、もしもし?」
「うん。今送った写真とデータ。あれ本物だから」
「え?証拠?それは、こっちのパパラッチに聞いてくれよ」
「お金は要らない。」
「見出しねぇー・・・まぁ、“性悪女”で完璧じゃない?」
「蓮のドラマも、これで視聴率もっと上がるんじゃねぇの?
サッカーのほうに関しても観客増えたりして」
「ちょっ・・・」
「俺?俺は今、まだ日本には居ないよ」
「うん。いつ発売の週刊誌に売る?来月?」
「ねぇ・・・」
「あぁ、そうだなぁ。一応、女は一般人だから顔は隠さねぇと・・・。
でもSNSで拡散すればすぐに広がるよ」
「聞いてんの!柳沢!!」
声のボリュームが少し上がったところでー・・
彼は何度も見てきた、あの“笑顔”で、こちらに向きなおした。