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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気

「あの」

暗闇で恐る恐る声をかけられ、思わず肩があがってしまう。

「はい?」

と振り向くと、愛想のいい王子様みたいな男の人がいた。さっき私の2つ隣に座っていた人だ。

「響がスミマセン」
「いいえ。気にしないでください。」

「最近、仕事が忙しいみたいで、酒呑むと、あぁなる事が多いんです」
「はは、それは良い事じゃないんですか?」

「ん?」

「仕事が忙しいのは良い事ですよ、特に芸能界なんて人気商売ですしね。毎日、家でお酒呑みはるよりは随分とマシですよ」


「ー・・まぁ、そうっすね」

わざわざ、それを謝りに店の前のコインパーキングまで来たのか。そうだとすれば、なんて礼儀正しい人なんだろう。


「煙草、短くなってますよ。」

「え?ああ、ホンマや。」

携帯灰皿を忘れてきたことに気が付き、煙草を捨てるべく車のドアを開ける。



「何吸ってるんすか?」

「ピース。知ったはります?」


「勿論。あのドギツイのでしょ」

「皆言わはるわ。」

と微かに彼に微笑みかけた。



「煙草、吸っていいっすか?」

「え?吸うの?」



「へ?」


「サッカー選手じゃないの?」




「ーっ・・ぷはっ!俺の事知らなかったっすか?」


「・・・はい。」




「サッカー選手なのは、さぁサンの隣に居た愛想の無い人ですよ。俺は俳優です」


「あら、そうなんやね?てっきりー・・」


「大丈夫っすよ。性格がこんなんだから、よくスポーツ選手に思われてたし俺も実際フットボールしてますしね」


「あぁーなるほど。だから社交的なんやね」



「そうー・・なのかな?」
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