この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気
「あの」
暗闇で恐る恐る声をかけられ、思わず肩があがってしまう。
「はい?」
と振り向くと、愛想のいい王子様みたいな男の人がいた。さっき私の2つ隣に座っていた人だ。
「響がスミマセン」
「いいえ。気にしないでください。」
「最近、仕事が忙しいみたいで、酒呑むと、あぁなる事が多いんです」
「はは、それは良い事じゃないんですか?」
「ん?」
「仕事が忙しいのは良い事ですよ、特に芸能界なんて人気商売ですしね。毎日、家でお酒呑みはるよりは随分とマシですよ」
「ー・・まぁ、そうっすね」
わざわざ、それを謝りに店の前のコインパーキングまで来たのか。そうだとすれば、なんて礼儀正しい人なんだろう。
「煙草、短くなってますよ。」
「え?ああ、ホンマや。」
携帯灰皿を忘れてきたことに気が付き、煙草を捨てるべく車のドアを開ける。
「何吸ってるんすか?」
「ピース。知ったはります?」
「勿論。あのドギツイのでしょ」
「皆言わはるわ。」
と微かに彼に微笑みかけた。
「煙草、吸っていいっすか?」
「え?吸うの?」
「へ?」
「サッカー選手じゃないの?」
「ーっ・・ぷはっ!俺の事知らなかったっすか?」
「・・・はい。」
「サッカー選手なのは、さぁサンの隣に居た愛想の無い人ですよ。俺は俳優です」
「あら、そうなんやね?てっきりー・・」
「大丈夫っすよ。性格がこんなんだから、よくスポーツ選手に思われてたし俺も実際フットボールしてますしね」
「あぁーなるほど。だから社交的なんやね」
「そうー・・なのかな?」