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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第7章 波乱の幕開け

「頑張ってたよ。2ヶ月間店しめて
ずっと紫音に付きっ切りだった。
俺も家遊びに行って、ご飯差し入れたり
分かんないなりに調べて良いミルクとかベビー服持って行った」
「で、やっと紫音が2ヶ月になって
保育園に預けれるころー・・もう一回店を開けたんだ。
噂を聞きつけた常連さんが
同情なのか何なのか・・・いつも以上によく買ってくれたり
太客を紹介してくれたりで、結構全体が明るくなってきてる。誰もがそう思った時ーー・・・」
「宮間さんは店に入った強盗を追いかけて、殺された。
犯人は、いつもワインを買っていた若い男だった。
ーー・・花さんが亡くなって、一人になったのを見て、魔がさしたと言ったらしい」
「訳わかんねぇけどなー・・・っ。
一人になったの見て・・・
嫁なくして小さい男の子を一人で必死で育ててる姿みて・・・
魔がさしたとか・・・。
絶対違うんだよ、そいつはー・・ただたんに金がなくなって
だけどー・・酒が飲みたくて中身をよく知ってる酒屋に強盗に行ったんだ!!」
「レジの場所もー・・開け方もー・・
何曜日にお金がどれだけ入ってるのかもー・・全部わかってたんだよー・・っ」
「だから、魔がさしたとかじゃなくてー・・・
ぜってぇにハナから宮間さんを殺して、金だけを奪うつもりだったんだ!」
力強く、そう言い切る柳沢の頬にはー・・一筋の綺麗な涙がこぼれ落ちていた。
思わずー・・彼を抱きしめてしまう。
無意識だけどー・・・何となく、こうしたかった。
「お前のマンションの前で待ってた前日、宮間さんの葬式だった。葬式に参列するために日本に帰ってきたんだ。
沢山の人が参列してくれた。
前の学校の同期の人や、宮間さんの同級生
花さんの友達、お店の常連さんまでもがー・・・」
「でも俺の一番の心残りは
そんなに強くて、勇敢で、素晴らしい夫婦がこの世にたった一人で残した紫音のことだけだった。」

