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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第7章 波乱の幕開け
「あんたなら変に干渉もしないだろうし、つけあがる事もなければ、ちょうど釣れるネタがあったから」
「うん。」
「だから、あんたの言い分も正直わかってた。
俺がどんなに自己中な考え方してるかも。」
「でも、あんたは押しに弱いから、そこを利用したんだ。試合負けたらー、もう仕方ないから出来るところまで頑張って粘ろうと思った。イギリスに国籍うつしたら、法律変わるからちょっとはやり易くなるし」
「じゃあ、優勝カップ手に入れて、
あんたも俺の思い通りになってくれてー・・」
「わかったよ。もういいから。全部わかったから。」
だから、彼はあんなに急いでたんだ。
なんとしてでも、一刻も早く紫音を自分の子供にしたかった。そして自分の手で育てたかったー・・。
結婚してから一週間。
全然連絡もとらずに、彼が動き回っているのを風の噂で聞いてた。その理由も全部わかったーー・・。
「勝てると思って、貴方はハンソンよりも誰よりもあの試合に賭けてたんやろう?絶対に勝たないとあかん試合やからー・・でも、練習を疎かにせず、日本のそういう機関と連絡を取り合って、話を進めてた」
「だから、こんなに早くこの子を私たちの子供として迎えいれる事ができたんやろう?」
「ーーー・・っ。」
服が、柳沢の涙で濡れていくのがわかる。
紫音のためなら、私を脅してでも、自分の睡眠時間を削ってでも試合に勝って物事を有利に進めるってかー・・。
「偉いよ、誰にも相談出来ない中でよく頑張ったやん。お疲れさま。」
「小百合ーー・・。」
はじめて名前で呼ばれたかな・・?
「四ヶ月ー・・それって、審査や確認の期間なんやろう?」
「あぁ。ちゃんと育ててるか、とかな。」
「この先どう転ぶかは分からへん。
でも、私たちの子供なのには代わり無いから。
私は紫音を母親として、全力で守り通す。
擦れた道も歩かせへん。
そして、柳沢。あなたの事も妻としてしっかりサポートする」
「だから余計な事は考えずに
今まで通り、サッカーに打ち込んで・・サッカーだけをみてて。」
「あなたが私たち家族を守ってくれるように
私も紫音と光を守るから。」