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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第8章 パパとママ



「えーー・・小百合さん、その子。」

真っ黒のスーツに、各自少し派手なネクタイをしている男が三人家に来ている。一人は、前にサシで話した事がある人。全店舗含めての統括にあたる。

残り二人は、まぁ雇われオーナーといった所だろうか。

勿論、私の噂は聞いていただろう。仕事にしか興味がない若い女がー・・生後三ヶ月の赤ん坊を抱きながら、各店舗の売り上げ表と、図面を見ている。

こんなの普通ではあり得ない光景だ。

「子ども。私の。」


「え・・旦那さんは?」

「居るわ。今は仕事に行ってるけど。
普通の人よ。」


「そうなんすかー・・。」


彼らが家にくる前に、ミルクをあげたから紫音は幸せそうな顔で睡魔と戦っている。

三ヶ月検診は・・なにもなかった。むしろ、もう九割首が据わっているこの子は成長が早いと白髪混じりのおじいちゃん先生に言われた。先生は、私たちの関係を知ってくれている。柳沢に紹介された先生だから、あながち彼の知り合いなのかもね。


"頑張りなさい"

と強く背中をおされた事により、ずっと母親としての自覚が強くなる。

私は、ハンソンと付き合いたい。

だけどーー・・この子から離れる事はできるんだろうか?絶対に離したくない!と思うだろうー・・。


「とりあえず、もうお金の事は仕方ないわ。」


「金庫を買い換えて、金庫の鍵は絶対に統括に預けて頂戴。統括は、すべて持ち帰ること。鍵と、ナンバーキーをダブルでしたほうがいいわね。」

「わかりました。」


「経費で落とせるから、一番上等なやつでお願い。でお客様にはなるべくカードで支払いをするように軽く言っててくれる?」

「わかりました!」


「とんずらした子に関しては、給料も結構よかったしー・・雇用状態の面は、今のところなにも変えないわ。現状維持の方向でいきましょう」


「はい!!」


「景気はどう?」


「歩久保店は最高だよ。恵比店に並ぶかもしれない。」

「残りは?」


「それこそ現状維持かな?減らず上がらず」

「わかった・・。そこをもう一度考え直してみるよ。
とりあえず今日はこんなところでいいかな。」


ミーティングをして、二時間近くたっている。

もうそろそろ、各店舗営業開始の時間だし、私は話を切り上げ、彼らを玄関まで送り届けた。
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