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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第8章 パパとママ
19時半。鍵をあける音がして、わーわー言ってる紫音を抱き抱えながら迎えに行く。
「おかえり」
「ただいま。今日ご飯何?」
「開口第一声がそれ?」
思わず笑ってしまった。
「しょうがないじゃん。練習すげーハードでお腹減ってる。紫音~賢くしてたか?」
「あー!」
「こいつ、本当によくしゃべるなぁ。
絶対に宮間さんみたいになるわ」
柳沢に紫音を渡してから、彼の荷物を寝室に運んで、その中に入ってる練習着を洗濯機に放り込んだ。
「なに?宮間さんってよく喋る人?」
「あぁ。あんたが怒った時には敵わないけど」
「はぁ?どういう意味よ。」
「紫音~ママ怒ってるぞ。こえーなぁ?」
「もう。ご飯。」
「わかってるよ。」
布団の上に置かれた紫音はどこか不貞腐れてそうだった。ついつい抱っこしてるけど・・気を付けないと抱き癖ついちゃうなぁ・・。
「お、唐揚げ。」
「うん。試合前になったら必然的にカロリー計算とかしなきゃいけないから。今のうちに、こういうのは食べといた方がいいやろう?」
「そうだな。」
二人で席について、夕飯を食べる。
二メートル先には、お布団の上でガラガラを持って何やらはしゃいでる紫音。
寝返りするようになったらいずれかは、ソファーに突っ掛かって泣き叫ぶだろう。今はまだ大丈夫だけど。
でもーー・・そうなったらガラステーブルもどうにかしないと。ひっくり返った時に頭でもぶつけたら大変だ。
「あ、柳沢」
「?ーー・・あーぁ。これ撮影したの結構前」
「そうなん?」
「うん。プレミアムリーグ始まってなかったと思う。」
「へぇー」
「この男、日本で俺の次に有名なサッカー選手。」
「名前は?」
「岸野。通称、キッシー。
結構かっこいいだろ?女から人気なんだよ。」
「そうかな?私、こういう野獣タイプ苦手。」
「野獣タイプ?なんだよそれ」
この人と一緒に過ごし出してから、よくテレビを見る様になった。前までは全然見てなかったのにー・・。彼もテレビはそんなに好きじゃないと思う。ただ、友達の現状を知るために見ているのかな?あとは、サッカー界の現状とか・・。