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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第8章 パパとママ

「あぁー紫音・・泣き止んで頂戴よ・・」
必死にあやしながら、ベビーカーにオムツや熱湯、持ち運び可能のミルクの粉を入れたバッグをかける。
私たち家族の誰よりも早く目覚めた紫音は朝からご機嫌ナナメだった。赤ちゃんは確かに文句も言わないし、我が儘も言わないから可愛いけどー・・でも逆に何が気にくわなくて泣いているのかが分からない。それが一番辛いよね、ママとしては。
柳沢も、普段は育てやすい子の
"早い反抗期"に少し驚いたのか、練習に行くまでずっと抱っこしてあやしてくれていた。
朝が忙しい私にとっては本当に助かる。
ご飯を作るのは勿論、後片付けもしなきゃならないし、家の掃除や、彼の練習着などの洗濯もー・・
考えれば考えるほど、主婦って結構大変なんだなぁとつくづく思った。
「はーい、行こうね~」
戸締まりを確認して、エレベーターまで向かう。
「あら、小百合ちゃん」
「あ、おばあちゃん!久しぶり~」
「その子・・。」
「一応私の子なの。血は繋がってないけど・・
でも全然泣き止まなくてね。
いつもは笑ってるか喋ってるかの子だから、本当にどうしたらいいか分からへんというか・・」
「そうかい。オムツもミルクも完璧?」
「うん。それは完璧やねんけどなぁ・・
ほんまにどうしたんやろうか・・」
「抱いてもいい?」
「勿論!でも大丈夫?」
「腰が曲がっているからといって、赤ちゃんを抱っこできないとは限らないよ!」
ーー・・、はは!確かにそうだな。
毎日畑仕事してるんだもん。そりゃ元気か。
「あ~たぶん、この子不安なんだろうね」
「不安・・?」
「赤ちゃんは幽霊が見える、とか
動物と会話できるって言うだろう?
それはね、大人よりも"そういう出来事や考え"を察知する能力が優れているからなんだよ。」
「血が繋がっていないと言ってたね。
私は小百合の性格を知っているから、小百合がどれだけ本気でこの子を育てようとしているのかもわかるよ」
「どんな事情があるのかー・・勿論気になるさ。
でも小百合が話したい時に話してくれたらいい。
私は無理矢理聞かない。
だけどー・・私も子どもは居なかったけど
昔、見に染みて分かったことがあったんだ。」

