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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第8章 パパとママ


ーーー・・ズキズキ。

胸が痛む。


やっぱり彼の頭の中には"四ヶ月"という期間しかない。私が奥さんとして彼をサポート出来るのも、彼の私生活に、ほんの少しだけ干渉出来るのも、こうやって毎日紫音と一緒に居れるのも、四ヶ月。・・そう、たったの四ヶ月。


「柳沢。」


「ん?」




「あなたね、私に言ったの覚えてる?
決勝戦を見に来いとわざわざ言いに来た日、

"お前はそこまで本気で人を好きになったことがない"と。」

「あぁ。」


「でもね、それは嘘よ。
私はー・・誰よりも愛してる人がいる。それは紫音。

紫音がもし、誰かに殺されたら
愛が道徳心より上にいって、私はその犯人を殺すと思う」


「紫音と一緒に居ても飽きない。

どんなに長い時間を過ごしても飽きない。

おかしいやろう?血は繋がってないのに。」



「ーー・・。」



「抱いたからっていって、絶対に飽きるわけじゃない。私たちには紫音が居るんやから、確かにセックスレスは嫌やけどー・・セックスよりも興奮を、喜びを運んでくれる天使がすぐ側に居るんやから。」

「この関係が変わらない事を祈りながら

抱いてよ。」





「だけどー・・。」



「蓮が抱いたのもハンソンが抱いたのも
全部"菊乃小百合"よ。

あなたが抱くのは"柳沢小百合"」









「ーー・・あんた・・。」


驚いた顔をする彼の後頭部に手を回し、やや強引にキスをした。私の舌を受け入れた彼の顔はー・・

父の顔でも

テレビや試合でみるスターの顔でもなく


たった一人の。

なんか、影を持った、ただの男の顔だった。


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