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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第8章 パパとママ
「でも、小百合さん料理上手だね」
「そうですか?」
「うん。美味しそう」
「あげねぇからな」
「分かってるわ!!」
と兄弟みたいな会話をきいて、思わず笑ってしまう。
もっと棘棘しい雰囲気なのかと思っていた。世界と戦えるレベルの選手達がひとつの場所に集まってるわけだしー・・自己主張が凄いというか・・・。
「旦那さんにも作ってあげてるの?」
「そうですよー」
好き嫌いが激しい旦那さんが、文句を言わずに食べてくれるように、毎朝毎晩どんなに考えて料理を作ってることか・・・。
「へぇ、いいなぁ。旦那さんは?どんな人?光と一緒に住んでるの?」
「あぁ。こいつの旦那は良いやつだよ。
優しくて、気が利いて、子どもの面倒もよく見る。」
私が答える前に答えたのはー・・・意地悪そうな顔をしている柳沢。
優しくて、気が利いて・・・?
最後の部分はよしとしよう。本当に面倒見てくれるし・・・。
でも他は違うでしょうに・・。そんな私の考えが彼には理解できてるのだろう。今すぐにでも噴き出しそうな表情を浮かべていた。
「へぇ!いい旦那さんなんだね!」
「はは・・・そう・・かな」
良いお父さんではあるけど
良い旦那、良い男かと問われればわかんない。
だってー・・とてつもなく性格悪いんだもん。
「ごちそうさま」
「うん。」
「隣の部屋行くぞ。紫音寝かさねぇと・・」
「そうやね。」
「光、練習ちゃんと戻ってこいよー」
「あぁ。」
お弁当を私に渡して、紫音を代わりに抱きかかえてくれる。
腕が疲れていたから助かった。抱っこ紐ほしいなぁ・・・。
「ここ。」
「うん。」
「あんたしか使えないようにしとくから」
「ありがとう。でも大丈夫なん?」
「何が?」
「勝手に使って」
「大丈夫だよ。俺の頼みは基本的に何でも聞いてくれるから」
ーー・・うぬぼれるな!なんて言えない。
だって絶対にその通りだもん。この人が居るだけでチームの勝率も、金銭的な影響もー・・プラスの方向に動くだろう。それだけの影響力と才能を持っている。