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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気
車を駐車場にとめて、笑顔で一礼した運転手さんともう一人の代行さんに背中を向けてそそくさとエントランスに入る。鍵でトビラを開けると、その中には待合室みたいな者があり、一応警備員が24時間待機してくれている。誰が見ても“良い”マンションだ。家賃は安くないけども、帰り時間がバラバラの私にとっては安心できる家なので。ここに決めた。駐車場から専用スペースを歩いて1分の距離でエントランスっていうのも結構決め手になったと思う。

「お疲れ様です」
「ありがとう。そちらこそ、いつもお疲れ様」

少しガッチリとした体系の顔見知りの警備員さんに軽く挨拶をしてから私達はエレベーターに乗り込んだ。

「何階?」
「23」

「一番上じゃん。」
「うん。そうやで」


「謎が多い女だね。一人暮らし?」
「勿論。こんな時間に男を家に入れるほど親不孝者じゃあらへんよ」

「あ、それより。さっきの代行代、ありがとう。」
「いいえ。あんな金額、さぁちゃんが店に置いていったのと比べると天と地の差でしょ」
「それでも1万円稼ぐのは大変やんか。汗水垂らして、悔しい思いをしながら得る物がお金、やしね」

「あれ?案外普通の考え方なんだね」
「うん。水商売とかじゃないし、普通に仕事してるからね。」

「てっきり100万くらい端金♪とか思ってるタイプの女だと思ってたよ」
「ナイナイ。」

「まず、同じ事してたでしょ?」
「同じ事・・・って?」

「お釣りいらない、って言うだろうなぁと思ってさ。俺の口止め料として。」
「あら、エスパーか何か?」

「うーん、そういう所はわかりやすい。他の部分は全くと云っていい程、ヨメないけど」
「一応、有名と人気を兼ね備えてるんやろ?」

「一応、じゃなくて、カナリだよ。」
「はは、気持ち悪ッ。」

「うわーなんそれ、失礼じゃね!?」


と蓮君が面白可笑しく反論してきたとき。


ーー・・ポーンッ

というヘンテコな機械音と共に、23階にとまった。
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