この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第9章 主婦の長期休暇
紫音はもう不安じゃなくなったのかな?他の子ども達と同じ様に泣き止んだ。よかった~
「雨降ってるの?」
「いや、降って・・・・ないです!!」
みんな、こいつの顔見たら驚くんだな・・。
「そっか。パレードは?」
「もちろん予定通り行われます!
今回の一連は本当に希なモノですので、他のアトラクションも問題なく動くと思われます。」
「まだ居るだろ?」
「え?うん。」
サングラスと帽子をつけていないからだろう。
無事、ティーカップからおりてきた他のお客さんは柳沢をいとも簡単に見つけて、ボソボソと話し出す。
「あれって・・」
「あぁ。柳沢光だな。」
普通の家族が多いのが救いだ。若いカップルとかだったらツイッターで拡散されそうだしーー・・。
みんな、中々品位があるのだろう。
変にはしゃいだり、話かけたりする事もなく、黙って不思議そうな顔で私達を見つめるだけだ。
まぁ、結婚報道もなければ
熱愛報道もない男がー・・生後五ヶ月の赤ちゃん抱いてる女と一緒に居たらそりゃ吃驚するよね・・。
「あ、サングラスとハット・・取ってきますね!!」
気転を利かせてくれたスタッフは、走ってどこかへ行ってしまった。まだ出たら駄目らしい。安全確認かな?
・・んー、でもこの空間は耐えにくい。
柳沢の後ろ姿を見ながら眉を下げていると、小さな男の子が走りながら彼の元へ駆け寄っていく姿が目にはいった。
ミュラーとおなじ年くらい・・もしくはもう少し小さいかな?
四歳から六歳くらいだと思われる。
日焼けした肌は健康的で
寝癖がついている髪も子供らしくて可愛かった。
「しゅみません!!」
直立不動ってこういう事・・。緊張してすっかり固まりながら光に声をかけている。
「ん~?」
柔らかい声で返事をした彼の顔は見えない。
でもすごい優しい声をしていると思う。ーー・・ミュラーにユニフォームをあげた時のように。
まるで裏の顔なんて想像できないほどの優しい顔・・。