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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第10章 嫉妬心は愛情の塊
「小百合。起きな。もう夕方だよ。
ご飯でも食べにいこう。」
いつの間にか被せてもらっていたブランケットを深く被り直して一分間だけ考えことをしてみた。
ーー・・そうよね、あの刺激が強すぎて気を失ったんだーー・・。深い闇に落ちてから夢なんて見ることもなくずっと無心で寝ていた私。
私を、闇に陥れたのも
怖いと思わせたのも目の前でネクタイを結んでいる彼、ハンソンだ。
何時間寝ていたのかは解らないけど
いまだに裸である自分の身体をさわってみた。
どこもベタベタしていない。
だけど、微かに汗の匂いは残っている。
なんかーー・・変な感じ。
「ハンソン。」
「んー?」
「あなたが出したヤツって・・拭いてくれたの?」
「はは。拭いてないよ。中に出したんだ。」
まるで絵画に出てきそうなほど綺麗な笑み。
心からの笑いだろう。
別に隠し事も奥深くにある思いも何も感じさせない。
だけどーー・・それが私には怖かった。
人って愛している男に冷めるのってほんの一瞬で大丈夫なのかしら?
確実に、会った当初の"大好き"は今の彼の言動で崩れさった。
「なんでーー・・。」
「僕は言ったよ。君が周りに流されるのなら、少しばかり強引でも僕が捕まえておかないと駄目だってね。」
「だけどー・・それとこれとは違うんじゃないの」
「何がだ?君の紫音に対する態度を見ててわかった。
君はーー・・子供ができたら絶対に墜ろさない人間だ。珍しいよ、別に特定の宗教を信仰している訳でもなければ、日本は中絶の数が世界ランキング五位以内に入るほど多い国と言われているのに。」
「それってつまり・・」
「あぁ。紫音が居る限り、君は柳沢と繋がっている。
でもーー・・もし僕との間に子供ができたら
その子が居る限り、僕と君も繋がってる。」
「ちょっとまって!でもそれはー・・」