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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第10章 嫉妬心は愛情の塊
「紫音のチャイルドシート、ベルト閉めたか?」
「えぇ。」
「分かった。」
相変わらずの過保護ぶりー・・。
何度も私達の天使くんを確認してから、やっとこさアクセルを踏んだパパ。いつもいつも、ここまでが長いのよ。
「CD変えていい?」
「それ、元から入ってたやつだよ。
他に何もない。」
「携帯で繋げるから良いわよ。」
「あー」
あえて、ローリングストーンズをはずして簡単にプレイリストを作成し、それを車の受信機に受信させる。
数秒後に流れ出した音楽ー・・。
有名なオペラ歌手が日本の古き良き歌をイングリッシュカバーしたものだ。有名所でいえば、春よ来いの他に山口百恵さんの秋桜などーー・・。
ゆったりとしたピアノ伴奏と非常にマッチしている甘い歌声に何度も痺れそうになる。
柳沢は私の選曲に文句を言わなかった。
いつもと同じサングラスをつけて、ただ黙って前をむいて運転している。
紫音も、こういうゆったりとした音楽の時は
あまり喋らずずーっと窓の外に目をむけている時が多い。
キッズテレビで流れる子どもらしいイングリッシュソングの時は、ぷくぷくの腕と足を動かして騒ぐんだけどね。
どっちの方が好きなんだろうー・・?
「そういえばシャキーラって何の仕事してんの?」
「固い仕事よ。」
「外交官?」
「ふふ、そこまで固くないわ。
ん~お金関係ね。企業のお金の使い方にアドバイスしたり色々と。」
「税理士ー・・マネーコンサルタントみたいな感じか」
「そうそう。だから、すごく馬鹿そうに見えるけどあれは完璧に外面よ。本当はかなり頭が良い。」
「会うの楽しみだわ。」
「あら、そう?」
「あぁ。一度だけパーティーの時にチラッとみて美人だなーと思ったけど、喋ってないしな。あんたと電話で喋ってる会話が少し聞こえたくらい。」
「面白いわよ。きっとパパが好きなタイプ。」
「あんた俺のタイプ知らないだろ。」
「知らないけどー・・あ、本当だ。全然知らない。
どんな人が好きなの?」
「なに?聞きたい訳?」
「いや、聞きたいっていうかー・・話の流れ?」