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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第10章 嫉妬心は愛情の塊
心のなかで宣言した通り、二十分ほどで脱衣所を後にして事務所にシャキーラ専用の布団をひく。
ここはクーラーもあるし、テレビもあるし
パソコンもあるしー・・別に不便はないはず。
彼女が勝手にデータを盗むなんて事も考えられないから、この部屋に寝かすのも嫌な気持ちになんてならない。
濡れた髪をバスタオルで拭きながら
私はリビングへももう一度向かいなおした。
"で・・あんたの気持ちは?"
お酒に弱い筈なのにー・・シャキーラの声色は至って素面の時と変わらない。そんなに飲んでないのかな?
"俺は別になにも思ってないよ。"
何の事だろう?
まるで、パパとママの離婚についての話し合いを盗み聞きしてる子どもの様に、リビングに繋がるドアの前で足をとめ、息をひそめて会話を盗み聞きした。
"産ませるの?"
"もしそうなればな。
もちろん、産ませるよ。"
"だけどーー・・それは、相手が許さないわ"
"許さない・・か。"
"そりゃ、そうでしょう。
もちろんその人も貴方達の契約期間について知ってるんでしょう?"
"あぁ。"
"じゃあ尚更ね。
愛って貴方が思ってる以上に怖いわよ。"
"俺も愛してるからこそ
そうなれば、産んでほしいとおもってるんだよ。"
"でも、女の子の顔もあるわ。"
"気にしたら負けだよ。"
"相手が司法を使ってくる可能性もあるしー・・"
いつもより冷静なシャキーラの話声。そして、会話。
何となく嫌な予感がする。
誰の事を話してるんだろうーー・・?
産むとか、産まないとか何のこと?
"司法でも、暴力でも何でもかかってこいって感じだわ。今は。俺も司法でこられたら司法で返す"
司法で返すーー・・え、本当に何の話よー・・。
司法・・刑事裁判じゃなくて
話の流れ的には民事裁判よね?
産む?誰の子を?
ーーー・・あいつ、もしかして・・。
本命の彼女が居るのかしらーー・・。