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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第10章 嫉妬心は愛情の塊

心臓がバクバクと鳴り出したのを隠すかの様にして、勢いよくドアをあけた。

バタンッ!とリビングに鳴り響く音。


「あら・・早かったのね。」

「えぇ。」


「何かあった?冴えない顔して。」


「ううん、何もないよ。」



「そう・・。」


本命の彼女が居るのに、俺はお前の夫であり紫音の父親だから他の女は抱いてないって言ってきたのかしら?

もしそうなら、どんだけ罪な男なのよ。


ーー・・今まで家族・家族してきた時間も

少しずつだけど解けてきた緊張感や疑いも


全部、水の泡だったって事じゃない。


私を"本命の女"と被せてたの?

私・・そう、菊乃小百合と紫音と柳沢で過ごした時間じゃなくて・・。あなたの頭の中では、別の女と紫音と自分で過ごした時間になってたのかしらーー・・?


胸が痛む。

何で胸が痛むんだろう。


私が好きだったのはハンソン。

今もなお、愛しているかもしれない男性はハンソン。



こいつに好きな女が居ても

その女との間に子どもができてもー・・私は別にかわらない。ソレでよかったーー・・ハズなのに。


本命の女ー・・?あ、もしかしたら私に性的興奮を感じなくなって遊びで抱いた"一夜限りの女"?



そっちの方が、まだマシだ!なんて思っちゃう。

なんでだろう。



あいつが私以外の女を私以上に愛していてもー・・紫音に対する愛が一番深いのはちゃんと理解している。

でもね、紫音だけじゃなく
私を愛してほしいと思ってるもう一人の自分が居る。


私が好きなのはハンソンーー・・なんだよね?



なんで、こんな我が儘な恋愛をしちゃってるの?
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