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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第11章 魔法の検査薬
「歌手・・って・・。おめぇら協会はまじで俺の事何だと思ってんだよ。」
「ぷっーー・・はははは!!」
思わず吹き出してしまう。急いで口を塞ごうとするけど、ツボに入っちゃって無理。
だってね。こんな男が歌手デビューだよ?本職サッカー選手で副職歌手?しかもこいつがー・・?
はは!笑わない方が可笑しいでしょ。考えられないもんっ!
私の笑い声につられてか、紫音も大きな声で何かを喋り出す。止めなきゃ駄目ってわかってるけどー・・無理無理。いまの私に、理性なんて言葉はない。
「はぁ?誰も居ねぇよ。」
「ーー・・。知らねぇよ。俺が仮に結婚しようが子供作ろうがお前たちには関係ねぇだろ!」
「そこまで言うなら、俺、国籍変えるわ。
日本の協会じゃ話になんねぇ。選手を何だと思ってるんだよ?歌手になれとかドラマ出ろとか結婚するなとか。
俺たちはプロのサッカー選手。
俳優でもアイドルでも何でもねぇの」
急に真面目なトーンになる光。
私は、そこでやっと冷静になれた。
久しぶりに笑い泣きしたなー・・。それより、やっぱり私と紫音の声がマズかったのかしら?
「とりあえず、イギリスとの試合終わってから連絡してきて。」
「ーー・・ごめん、光。」
「あぁ?」
ギロッーー・・、彼に瞳を捉えられる。
あ、怒ってるよね。絶対ーー・・。
「いや、笑ってごめん。
私のせいでバレたーー・・?」
「ちげぇよ。気にすんな。」
「でも、結婚とか。」
「あいつらは俺の事をアイドルに育てあげたいんじゃねぇの?」
「え?電話のあいて誰?」
「日本サッカー協会の偉い人」
「なんでサッカー協会の人がーー・・?」
「俺がもうサッカーできないと思ったのかもな。」
と遠くをみて、ポツリとそう呟いた光は、心なしか悲しそうな瞳をしている。
サッカーがもう出来ないーー・・?
どういう事なんだろう。