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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第11章 魔法の検査薬
大きな買い物袋をぶらさげて、ショッピングモールでよく見かけるベビーカーに紫音を乗せながら、私は有名なブティックに入った。
透明な袋から見えるお豆腐や、ネギー・・。
ん~やっぱり人目は気にしないとは云え、恥ずかしいものね。
周りを見渡してみる。
髪の毛を綺麗に巻いた、お水っぽい美人なお姉さんやエリートと思われる格好の良いスーツを着た紳士な人ー・・。
そして夫婦で来ているエレガントな人々ー・・・。
完全にベビーカーを押して、買い物袋をぶらさげてる私は場違いだろう。もう少しちゃんとしてきたら良かった・・・かな?買い物ついでなんだけどー・・・。
慣れた足つきで、奥のほうへ進んだ。
マネキンが着ている何着ものお洒落なスーツ・・・。
ハンソンには“ありがとう”とメールを送った。プレゼントはいらないといわれた為、お返しなんてことは考えていない。
でもやっぱりー・・いつもお世話になってる柳沢には何か返しておきたい、そう思ったまでの行動だ。
本当に、家賃や光熱費、その他もろもろ、
彼の財布にも、そして彼の“存在”にも、
私と紫音はお世話になりっぱなし。
いくら仕事をしているとは云え、
家にお金をいれていないのなら
“専業主婦”と一緒だろう。
誰にも接客されないことに
“安心”と“もどかしさ”を覚えながら、
スーツをセレクトしていた。
やっぱりサッカー選手だし・・スーツが無難よね?
アクセサリーはつけないし時計は、知人から貰ったとされる“超高級品”をつけている。
あげても“それくらいかよ”と思われたら後味悪い。
そう思った私は考えぬいた末、
空港とかでよくチェックされる“スーツ”を選んだのだ。