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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第11章 魔法の検査薬
「小百合・・・起きたか?」
私の視界に写るのは、真っ白の壁紙と、心配そうな顔をしてる・・光。
ハンソンとのあの思い出はー・・私が頭の中に描いていただけか。
一瞬“過去”にタイムスリップできたのかと思った。
全部、白で埋め尽くされている。
布団も枕も、壁紙も、机もーー・・・。
そして、この独特の臭い。子どもなら誰でも嫌がる香りだ。
「病院?」
「あぁ。」
ユニフォームを着ている彼は、目を開いた私の顔をみて安心したのかな。
ふと、彼の後ろにおいてある、ブランドのロゴが入った紙袋に目がいった。
そうだー・・・私。
あそこで買い物してたんだ。
「ーー・・紫音は!?」
「居るよ。そこで寝てる」
と指をさされたベビーベッドを見ると、確かに幸せそうな顔で寝ている紫音ー・・。
よかった。この子だけが心配だ。
「私何があったの?」
「眩暈だよ。」
「え?眩暈で倒れたの?
そんな馬鹿な、そこまで柔じゃないわよ」
「それだけじゃない」
「何?--・・エイズ・・・?」
「はぁ。」
大きくため息をつかれて、光の財布で頭をコツンとたたかれる。
眩暈で倒れたって話した矢先に頭をたたくって・・!
「妊娠2ヶ月。」
「ーー・・」
時が止まったかの様に思えた。
いや、完全に私の思考回路は一瞬だけだがー・・止まった。
「嘘、何が・・はぁ?何言ってんの!
あんた、あのとき射れてないやんか!!」
「お前が心当たりあるのは俺だけか?」
「えぇ、そうよ!
何そのアバアズレみたいな言いか・・・」
「気付いた?」
ーー・・アバズレみたいな言い方って言おうと思った。
でもやめた。
だってー・・本当に、そんな事をしてしまった自分が過去に存在したから。ボロボロになるまで抱かれ続けたあの日をハッキリと思い出すー・・。
しかも二ヶ月、だ。
蓮じゃない。
だとしたらーー・・・。
「ハンソン・・・?」
「しか居ないだろうなぁ」
うそー・・・。
生理はきてなかった。
でも、もともと不順気味だったしそこまで気にしなかったんだ。
ご飯も今まで通り食べれてたし、食欲がむしろ増えてた。