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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第11章 魔法の検査薬
「いつも、強気な事言うくせに
押しに弱くて、すぐ流されるところがあって。
だけど、仕事や恋愛に関してはポーカーフェイスだった。すげぇなこの女って思ったよ。
訳わかんねぇ性格だなっとも確かに思った。
でも、それ以上に男みたいだなって。」
「確かに。前から良い人間だった。
朝は何も言わずに飯作って起こしてくれるし、
その飯も半端じゃない。上手いし栄養面もバッチリ。
俺達が芸能界の話して、
なにが何か分かんなかっただろうに、愚痴の1つも丁寧に相槌うって、聞いてくれてて。
だけど、仕事の事は絶対にプライベートには持ち込まない。辛い事も嫌な事も失敗も。何1つ、誰にも悟らせないーー・・。
俺も尊敬はしてた。
でも面白くない人間だった。
強い意思があるなら、男関係に関しても
それを貫けばいいのにって。
中途半端なお前に面白くないなーって思ったし、
正直、イラついた。本気で嫌いだった。」
ーー・・励ましてくれてるのかな?
なんか貶されてる様な気がする・・。
「でも、事情はどうであれ一緒に暮らす様になって、お前の紫音への接し方や、俺への接し方を見てる内に、
段々と、本当に良い女なんだなって確信する様になって。現代娘で、ここまで出来た嫁って居ないだろうなぁっていつも思ってた。
時間はかかったけどー・・
お前に仕事の相談されたり、
怒られたり、言い合いしたり、泣かされたり
そんな経験できるなんて思ってもなかったし。
いつしか本音を見せるお前に惚れてた。」
「っつーか、上手く言えないけど!
俺がここまで長い文章で話すんだぜ?
どの位、今のお前の方が好きなのかわかるだろ。」
「ーー・・っ・・うんっ」
「泣くな!汚い顔すんな!
とりあえず!お前は何思ってるのか知らねぇけど
俺は前のお前には絶対に惚れてない。
お前に惚れたのは
"お前が嫌いなお前"になったからだ。」
「ーーっ!」
強く抱き締められた。
今までの中で一番の強さ、そして一番感じる彼の不器用な愛情ーー・・。
あぁ、もう。
こいつは私のことを幾ら泣かせたら気が済むのよ。