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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭

"プロデビューした時は、綺麗な人がいいの一点張りだったんですが、移籍してからと云うモノ・・外見にはあまり拘らないから、料理ができて、子どもに優しくて、何かあったときに家族を守れる強い女性がいいと、何の雑誌やテレビでも仰っているんです"
"現実的になったんだね!はは!"
何かあったときに家族を守れる強い女性ー・・。
しかも移籍してからのインタビューか。
少なからず、宮間さんと花さんの事が関係してるんだと思う。きっと、彼は気付いたのよ。女は外見じゃなくて、内面だと。
内面が綺麗になれば、
外見にも"本来の美しさ"が出るとーー・・。
だけど、彼の好みをそんな簡単に変えてしまうってー・・花さんは、どれほどまでに強くて、格好良い女性だったんだろう?凄く気になるー・・。
"交際報道も本当に数少ないんですよ。売名行為に使われてる回数の方が多いくらい。本人も十ヶ月前のテレビで彼女はいないと公言していますし、皆様!狙うなら今がいいですよ~。"
と笑ってるこの女。
絶対に、この人が柳沢を狙っているんだわ。私の勘だけどー・・何となく当たってる様な気がする。
十ヶ月前はー・・本当に居なかったのかもね。
でも、残念。今は、私が居る。
彼女っていう立ち位置よりも大事にして貰える
妻・そして母という私がーー・・。
彼の財産や地位を狙ってる女になんか渡したくない。
彼にそれほどまでに愚かな道を歩ませるつもりなんて更々無いのだから。私はー・・彼を守るのよ。
ーー・・愛しているんだもん。
まだ口には出せないけれどーー・・。
これが嫉妬心だろう。そんなの自分でもわかってる。
余裕無い女性は醜いのも分かってる。
だけどー・・彼を独占したいと思って何が悪いの?
妻という権限があるのは、
一月十一日まで。試合の次の日ーー・・。
その日までは、私が愛の言葉を口に出していなくても、
仮に彼の心が別の女性に移ってしまっても。
私には彼を独占出来る権限がある。

