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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭

ーー・・ガチャガチャ。
鍵穴が動く音がして、テレビを回す。
「ただいま~」
「おかえり。って・・何、その荷物。」
「俺は何も買ってない。
もらったんだよ、スポンサーに。」
「ーー・・うそだぁ。」
「本当だっつーの。」
「紫音連れていく必要あった?」
「あぁ。かわいいもん。」
いや、答えになってませんから~残念!
もう何年前か分からないほど、昔に流行ったギャグを思いっ切り心の中で呟いた。
「・・。驚かれなかったの?」
「うん。親戚の子って言ったし。」
「ならいいけど。」
光から沢山の紙袋を受け取って、彼の背中を見ながらリビングまで歩いた。久しぶりのお出掛けに心踊っているのか、私の家に何かいるのか、どっちかはまだ理解出来ないけど、ずっと天井を見て喋ってる紫音がかわいくて仕方ない。
「はぁ。疲れた~
こいつ本当に重くなった」
「ベビーカーは?」
「持っていってないよ。降ろすの面倒だったし。ってか何で、こんなドロドロしてる昼ドラ見てんだよ」
「いや、見てない。付けたらこれだった」
あなたが帰ってきたから、チャンネルを回した。
本当はこの答えが一番正しい。
「ふーん。調子は?」
「私は大丈夫。パパは?」
「まぁまぁ。こいつ抱いてたせいでしんどい」
「それは自業自得」
「よく言うぜ~」
「夫婦そろって体調心配しあうなんて変な感じ」
「そうだな。普通のサッカー選手の嫁なら、心配するしかないもんな。される事なんてあるか?」
「妊娠中なら、されるもんじゃない?」
「いや~わかんねぇよ。
案外、男は妊娠とか気にしてないと思う。」
「じゃあ何でパパは心配するのよ」
彼の隣に座って、そう聞いてみた。
「愛してるから。それだけに決まってるだろ」
「ーーよく、そんな事恥ずかし気もなく言えるわね。」
「男は自分の気持ちに確信持てたら、素直になるもんなの。背負い投げしまくるから。」
「女の子の気持ちを?」
「あぁ。相手してくれなくても、気持ちが届かなくてもとりあえず背負い投げ、背負い投げ!これでとりあえず解決するよ」
ーー・・いやぁ、しないでしょ~。

