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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭



その日の夕方。三人で軽く仮眠を取ってから、私たちは自分達の身支度に取りかかった。クローゼットから、イエローベースのワンピースを取り出す。

腰部分が締まっているのに、お尻の所は綺麗に盛り上がっている。コルセットを付けなくても充分過ぎるほどの形の良さ。

左胸の少し上から真っ黒で太めのラインが真っ直ぐに真下に向かって伸びている。腰の位置に、遠目から見たらベルトに見える、こちらも真っ黒のラインー・・。

ちょうど、その二つのラインがぶつかりあっている所に真っ赤な福寿草の花が描かれている。

福寿草はめでたいとされる二月の顔でもあるお花。一月だから気持ちは早い様だけど、まさか今から私たちが向かおうとしている場所に、花の咲く季節や花言葉に詳しい人はいないだろう。

そんな私の独断と偏見からのチョイスだった。



「あー何着ていこうかな。」


「スーツ?」


「うん。黒だと被るし。」



「あぁ!」

「っだよ、うっさいなぁ。デカイ声出しやがって」



「ちょっと待ってて!!」


てっきり忘れていた、彼へのクリスマスプレゼント。

正直買ったのは良いけど、妊娠やら、お正月やらでバタバタしていて存在そのものをー・・。うん、思い出してよかった。せっかく買ったのに無駄になる所だった。

「これ!」


「ん?ドルガバじゃん。」


「あげるよ。クリスマスプレゼント」


「・・・・え?俺への?」


「そう。このネックレスのお礼よ。」



「かわいい事するじゃん?」

見た事が数少ない笑顔。心底嬉しそうで、少し照れている顔。ーー・・こんな顔できるんだ。

大きな手で頭を撫でられて、柄にもなく顔が真っ赤になりそうだった。だめだめ!まだ夕方なのに!

顔を真っ赤にするのは夜だけで良いの~!!


「うわ!しかもスーツ」

「たぶん、丁度やと思うんよね。」



「ドルガバーー・・もしかして、遥達と遭遇した時に買ったのか?」


「そうよ。パパに似てるっていいながら
選ぶの手伝ってもらったの。」


「あいつら、グレーなのに止めなかったのかよ?」



「ううん。理由聞いたら笑えた。」


「はぁ?!誰に?!」



「響。」



「あのクソーっ・・」



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