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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭

「でもさ、よくよく考えてみたら。
プレミアムリーグ始まる前のパーティーで、貴方グレーのスーツ着てたよね。スピーチの時に照明で凄くよく見えたから今でも覚えてる。」
「あぁ。あれはな。
最優秀賞貰ったし、ハンソンと比べられるどころか、俺が上って明らかな場面だったから。だから着た。」
「なにそれ~。」
「空港とか、チームで出掛ける時とか、
俺絶対着ないよ。あぁいう場面だけ。」
「じゃあ、最優秀賞がハンソンでも、貴方でもなかったら?」
「どうしてたかって?」
「うん。」
「ん~、とりあえず地味なスーツに地味なネクタイで行くだろうな。ハンソンが賞貰ってても、俺は真っ黒で行ってたよ。グレーは特別だ。」
「着ていくの?」
「女から貰ったプレゼントを大事にしない男に見える?好きな女からのスーツなら、いやでも着ていくよ!」
「嫌なんかいっ!」
「あー違う。例えな?」
意地悪な微笑みで、髪をセットしながらそう言う彼。鏡越しに目が合った。
「なに。目逸らして。」
「別に。」
「そのワンピース、似合ってる。
っつーか、あんたが着物着ないで、華やかな場所行くってのが新鮮だわ。」
「日本だしね~」
「海外だから着物なの?」
「そう。やっぱり外国人には洋服が似合う様に日本人には和服が似合うわ。同じ土俵に立ちたくない。」
「別にドレスとかでも良いんじゃねぇの?」
「貴方は、大丈夫よ。体格も顔立ちも劣ってないもん。だけど私は背低いし駄目。」
「卑下しすぎだろ~」
「じゃあ、キャメロン・ディアスと私。どっちがドレス似合うと思う?」
「キャメロン・ディアス」
「え・・あ、あぁ。そうよね。今の流れなら私って言うと思った。」
「自惚れんな。俺はいつでも現実主義だ。」
「ー・・知ってます~!!」
どこぞのラブラブカップルだよ!って隠しカメラとかあったら絶対に突っ込まれてるわよね。今のこの会話。
「シャツとネクタイ持ってきて。グレーに合うの」
「本当に着て行ってくれるの?」
「当たり前だろ。」

