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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭
真っ白のベンツに乗り込む。時刻はちょうど七時四十分前。この時間配分完璧な所は見習いたい。
紫音は、かっこいい真っ黒の赤ちゃん服。これも柳沢がインターネットでイギリスから取り寄せたものだ。イギリスの皇室ご愛用ブランドらしい。変な所、ブランドに拘るのよね。私は赤ちゃんなんて、どうせすぐ汚すし、着れなくなるんだから安物でいいじゃんって思ってしまうタイプの人間だ。
「この車好き」
「アウディより?」
アウディー・・。シャキーラを迎えにいった時に乗った真っ黒の車。白と黒。本当に対照的だな。ハンソンと光見たいー・・なんちゃって。
「そうね。」
「これスポンサーからだぜ。」
「聞いたわよ。」
「アウディ売って、これ買うか?」
「へ?」
「いや、好きなんだろ?」
「あんたー・・お金は木から落ちてくると思ってるでしょ?」
「思ってねぇよ。別にアウディも貰ったやつだし、いいじゃん。」
「いや・・そういう問題じゃなくて。」
「足らずの分は俺が出してやるよ。
色違いのベンツ買ったら?あんたの車も結構古いでしょ?製造とまってるやつだし。」
「はぁー・・。あんた私の事すき?」
「きもちわるっ。いきなり何だよ。」
「聞いてるんだけど。」
「気持ち悪いから止めろ。」
「じゃあ嫌いなの?」
「誰も嫌いなんて言ってないだろ」
彼は運転をしているから、お互い目は合わさないままの会話だ。
「そしたらーー・・好き?」
「・・っあぁ!だからなんだよ?!」
「好きか、嫌いか!さっさと答えてよ。
背負い投げとか言ってたのは誰ですかー?」
「っ。好きだよ!愛してるよ」
「じゃあね。忠告。」
「あぁ?」
「私、物を大事にしない人嫌いよ。貴方は服とかブランド物に興味がないの、自分に関しては。それは良い所だけど、その分執着が無さすぎるわ。」