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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭
「ったく、あいつら本当何なんだよ。」
「大学生のトークみたいやったね。」
「まじで。宮元が一番落ち着いてるわ。」
うんうん。彼は、笑ったり驚いたりする事なくずっとお酒をのみながら私とアイコンタクトを交わしていたし。
「それより、貴方の年棒公開されてないの?」
「イギリスとの試合終わったら公開されるよ。
変わったから今は未表示ってやつだな。」
「なるほどね~!」
「気になった?俺の年収。」
「別に。そんな気にならない。」
「まぁ、俺に
"私はあんたの財や地位に頼らなくても
一人で生きていけるのよ"
って言ってきたほどの女だしな。」
「あはは。懐かしいわね。」
歩きながら、そんな会話をしていた。
彼が目指している人物は、小太りのおじいさん。
「強気過ぎて、面白くなかったけど。今思えば、そういうところに惹かれていったのかも。」
「なによ、急に。」
「ーー・・お前が答えを決める日まで、時間が無いんだ。勝つ気持ちはあるけど、絶対とは言い切れない。負けるかもしれない。」
「負けた時のためにー・・負けても、お前が俺と一緒に居る道を選んでくれる様にー・・今、こうやって時間をフル活用して、飾らず俺の気持ち伝えた方がいいだろう。」
ーー・・きゃあ、本当恥ずかしい。
よくもそんな事・・。思わずニヤケそうになって、顔を横にふった。だめだめ、これから挨拶なんだからっ。
「ーー・・愛してるよ。
俺がこうやって挨拶回りに連れていける女は、世界中どこを探してもあんたしか居ない。」
「ーー・・光っ・・」
「おぉ、柳沢くん!久しぶりだねーっ!」