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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭
「金村さん、お久しぶりです」
「いやー本当に。活躍はいつもテレビで見させてもらってるよ。プレミアムリーグ優勝おめでとう、あのシュートは完璧だったね」
「本当ですか?」
「あぁ。凄いよ!この調子だと明後日の試合も勝てたりしてね」
「さぁ・・・。ブエノスの他のメンバーの協力があっての優勝でしたからね。今回は日本代表としての試合だし。」
「相変わらず毒舌だなぁー!!はは、確かに。日本のサッカーは世界に遅れを取ってるのは真実だからね。そこが難しいよね」
「そうなんすよね、まぁ勝つしか道は無いんですけど」
「そうなのかい?そこの可愛らしいお嬢さんと約束したのか?」
「こいつは親戚ですよ。ただの。」
「あぁ、そうなんだ。てっきり君のフィアンセかと思ったよ」
「ないない。」
「はじめまして、菊乃小百合と申します」
「はじめまして・・・。お子さんかな?」
「えぇ。もう九ヶ月になるんですよ。紫音っていいます」
「うーー!あぁー!」
「あはは!元気な男の子だなぁ」
「試合は見に来るのかい?」
「えぇ。一応、その方向で考えています」
「そうかそうか。ぜひおいで!」
「ふふ、はいっ」
気の良いおじさんだなぁ。エリートさんだし、もっと威圧的な人だと思ったけど、どうやら私の勘が外れたみたい。
「作戦とかはあるのかい?柳沢くん」
「作戦?イギリス戦の?」
「あぁ、」
「ん~特に。気持ちで勝つしかないよ」
「そうだな」
「気持ちがー・・一番大事かも。
俺もハンソンも絶対負けられない試合なんで」
「わお!何か賭けてるのか?」
「名誉かな?」
「--・・そんな言葉が似合うのは君達だけだね」
「ですよね~」
「あぁ。こんな親戚で疲れないか?」
「少しだけ」
「あはは!そりゃそうだ!!」
「がんばってくれよ、日本のサッカーの運命がかかっているといっても過言ではないんだから」
「勿論。」
おじいさんに頭を撫でられて、どこかうれしそうな紫音。
腕から見えた時計に度肝を抜かれた。さすがエリート・・・。でもその上を越えるのが彼だ。
私ー・・彼と結婚し続けていても
金銭感覚や価値観は変わらないで、このままでいたいなぁ。