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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭


「小百合ちゃ~んっ!!」

金村さんと別れてから、少しだけ二人で会話をしていた時に現れた岸野くんと宮元くん。
小走りなのが気になる。

「はい。どうしたの?」

「ちょっとだけ紫音貸してくれない?!」


紫音を貸す?なんだそりゃ。


「はぁ?何言ってんだよ、お前」

私よりも早く突っかかるのは勿論、パパ。


「代表メンバーと紫音とで写真撮りたいんだよ!
こいつすげー可愛いしっ!」

「ダメだ。」


「俺が抱くから大丈夫だよ、光。
さすがに酔っぱらってる岸野には抱かせられない」


「ーー・・。」


宮元くんが抱っこしてくれるのか。それなら・・と思ってるのは私だけ?光は、まだ考え込んでいる。


「小百合、抱っこ紐もってきてねぇの?」

「あ、置いてきた。」


「大丈夫だって!姪っ子抱っこしてきたんだし。」

「宮元くんなら良いんじゃない?」


「ーー・・ってえぇ?!なんで俺はダメなの?!」


とうるさい岸野くん。

当たり前!酔っぱらってる人に一歳にもなってない赤ん坊を抱かせられないわよ。怖いもの。


「宮元なら。」


「さんきゅ。よーし、おいで紫音」


まだ手は出せないけど、優しそうな顔と声に安心したのか何時も通りの笑顔で、私の腕から宮元くんの腕にわたった紫音。すごい楽だわ、やっぱり。

ずっと抱っこしてたら疲れるのが本音。

でも、完璧に抱き癖ついちゃってるし・・。泣きわめくのを無視して、抱っこしないもん!なんて言えない。甘い母親なのかな~、私。



「頼んだぞ、俺達まだ挨拶行くから」

「あぁ。泣き声聞こえたら・・一応戻ってきて」


「はは。了解」



軽く手を振ってから、彼達の背中を見守った。



「ー・・人気者ねぇ。」

「可愛いからな、仕方ないよ。」


「親バカ。」

「あんたにだけは言われたくない」


「手繋ぎたいけど、まだ無理だな。
親戚って建前だし。ほんと、ウソ間違えた」


「しょうがないわよ。」



「手繋ぎたいんだけど」

「ダメ。」



「はぁ・・。まじでやるせねぇ。

馬鹿やろう。馬鹿小百合」




ーー・・こどもかっ!

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