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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭


お肉に、フルーツにケーキー・・。ありとあらゆる物を食べながら、周りを見渡す。

未だに、みんなに可愛がられてキャーキャー言われている紫音。意味が分かってないだけだろうけど、満更でもなさそうだった。


「お一人?」

「はい。」


「綺麗なドレスね。私も、福寿草のお花好きなの。誕生日が二月だから。」

「あ、そうなんですか?もう少しですね。」


「えぇ。歳を取るのは嫌だけどね。」


私に話しかけてきたのは、さっきまで同テーブルに座っていたモデルさん。ハーフの方じゃない女性。

真っ黒の黒髪に、猫の様な目と細い鼻。
そして、グラマーな体型は、日本人らしい様で日本人らしくない。とても魅力的な人だ。

柳沢の年棒を探っていた時とは
大違いで、妙に落ち着いたしゃべり方をする。


「・・・・彼の親戚なの?」


「そうですよ。」



「今、あの子彼女いる?」

「いや、そこまでは知らないです。」


「そっかーー・・。」


「どうして?」



「気になってるの。彼の事。

この前、番組で一緒になったんだけど、すごく優しいじゃない?ギャップってやつなのかな。」


優しいー・・さぁ、どうだろう。

気を許して居ない人には別の仮面を見せるからね。そう思われるのもちょっとはわかる気がするけど、彼女の意見に賛同は出来なかった。



「そうなんだー・・。」


「好きになっちゃったかもしれないの。」



「誰を?」



聞かなくてもわかるけどねーー。





「光の事を。」

うふって笑って、舌を出す彼女はすごくセクシー。


ほら、やっぱり少し放っておくと、こうなるのよ。綺麗なお姉さんや可愛い年下の女の子に直ぐに好かれる。

ちょっとムカつくの。だって、まだ私は彼の奥さんなんだからね。一応。



「私、協力とかはできないですよ。

彼とはただの親戚なので。いちいち恋愛について口出しはしないし。」


「・・本当に親戚かしら?」



「えっ?」





「ーー・・私が男性なら、たかが親戚を挨拶回りに連れて行かないし、会場入り口の階段で腰に手を回してサポートなんかしないわ。」


「ーーー・・。そう?それが優しさなんじゃないの?」



「挨拶回りに連れていくのが優しさ?
笑っちゃう。貴方の定義、可笑しいんじゃない?」

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