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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭


「あ、おかえり」

「ーー・・・。」

岸野くんの言葉に返答せず、偉そうに私の横に座る、旦那さん。



これ・・・怒ってるのって私のせい?
もしくはー・・遥くんのせい?


「遅かったなぁ」

「--・・。トイレ」



「あ、そう。」


酔っ払っている人の陽気さが、今ほしい。彼が不機嫌なのにまったく気付いていない岸野くんは最高に幸せそうな顔をしていた。



「光、遥くんは?」

「あぁ?!」

なー・・なんでそんな大きい声で聞き返すのよ!



「遥くんは?」


「しらねぇよ、そこら辺居るだろ。
気になるなら自分で探せ」


あーもう、私わかった。

絶対にー・・遥くんと言い争ったんだ。


彼が何言ったのかは知らないけど
強引な結婚とかー・・紫音のこととかー・・普通の考えを持ってる人間なら“それはダメだろう”って言うよね。それがたとえ、過ぎた過去のことでも。

しかも、遥くんは本当に頭が良い。即座に場面を理解できて、言葉の紡ぎ方も他の人とはまた違う。知的なイケメンそのもの。

そんな彼なら、その時の私の気持ちも、それが“普通の人”から見て、“良かったのか・悪かったのか”くらいは簡単に分かると思う。



「探してくる。」


「おい、」


「うん?」


「紫音置いていけ」



「-・・分かった。」



案の定、腕がヨダレでベトベトになっていたから、白いハンカチでふき取ってから、柳沢を席に残し、遥くんを探した。

サッカー選手とはまた違う格好良さとオーラだから・・割とすぐに見つけられると思うんだけどなぁ~。


ハイヒールが床に当たる音が耳に響く。





そしてー・・その足音がとまったと同時に、

真ん中付近のテーブル席に彼を見つけた。




「遥くん~」


「あぁ!」



私を見て、軽く笑うと、
コンパニオンの人からジュースを2つ受け取ってこちらまで歩いてきてくれるー・・。




「ごめんね、立たせちゃって」

「気にするな。とりあえず、すわりな?」


「いいよいいよ。」


「言うこと聞きなって。あんたを粗末に扱ったら俺がアイツに怒られる」



「--・・はぁ。・・・遥くんの席座っていいの?」


「いいよ。隣の人どっか行ったし、ちょっと二人で仲良く話そうじゃないの」

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