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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭
「まぁさ、これからが大変だろうね。」
「本当に。家帰ってから弁解しなきゃ・・」
「ー・・・・違うよ。それは簡単じゃん。
お腹の子とかさ。蓮のこともそうだし。」
「あぁ、それね。」
確かに、すごい大変な事になると思う。
試合の結果はどうであれ、お腹の子がハンソンとの子供なのは紛れもない真実だ。その真実を突きつけて、私との繋がりを作ろうとするのは目に見えてる。
でもーー・・正直・・。
何度も言う様に、彼と夫婦をするのは難しいよ。今の私には。子供が大きくなったら、自分がハーフだって事に気付くと思う。その時に私が一人で育てていたならば、前の彼氏の子供なのよ。って言えるけど
柳沢と一緒だったら、何て言えばいいんだろう。
私も紫音が居る今は、ハンソンの気持ちもわかる。
やっぱりー・・自分の子供だもん。自分が父親として子の前に立っていたい筈だし、父親の存在を消す様な事をされたら凄く胸くそ悪いとおもう。
私の気持ちはさておき、
柳沢の気持ちとハンソンの気持ち、両方を理解できるからこそ決断に時間がかかってしまうんだ。
私が人の痛みや、弱さを理解出来ない自己本意そのままの人間だったら、どれだか簡単に、楽にこの問題を解決できてだろうー・・。
「蓮は、大丈夫よ。きっと。」
「そうか?あいつも、小百合の事大好きだよ。
きっと柳沢を普通の今まで通りの友達として"見る"には時間がかかる。
男だって、妬みとかいう面倒臭い感情は持っているんだしね。」
「そうだけどーー・・。貴方達四人には、これから先も変わらず、ずっと一緒に居てほしい。」
「まぁ、確かに。
俺達四人が揃ったら街を歩けないほどだもんね。」
「そうね。オーラも、楽しそうな雰囲気も。
すべて私好みよ。」
「お、素直になったなぁ。」
「そう?」
「うん。良い感じに
光に感化されてるみたいで良かったよ。
毒が抜けたあんたの方が幸せそうだよ。」
「今、私、輝けてる?」
「心配しなくていいよ、大丈夫。
前の何倍も素敵な人物になってる。」