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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第12章 前夜祭
「はは、ありがとう。
遥くんは?最近どうなの?」
「ツアーの準備でバタバタしてるよ。
個々の活動が目立つとはいえ、元々はグループでこの世界はいった訳だしな。」
「そっか~」
「見に来る?オーラス。」
「オーラス?それなら、初日がいい。」
「どっちでもいいよ。おいでよ。」
「そうね、行こうかな。」
「・・あ、」
「ん?」
遥くんの目線の先を、私も見る為に振り向いた。
そこには、もう先ほどまでの怒りが噴きでそうな程になっている柳沢の姿。
「おい、」
「・・なに?」
「いつまで喋ってんだよ。」
「そんな喋ってないやん。」
「あぁ?!」
この"あぁ?!"って、もう絶対この子の口癖よね。本当に紫音に移らなかったらいいけど・・。
「分かったよ。戻ればいいんやろう。」
「なんだよ、その言い方」
「まぁまぁ。光も来る?」
「何処にだよ。」
「ツアーの初日。13日後。」
「ー・・こいつは?」
「今誘ったよ。どうせなら、三人で・・あぁ、でもそっか。紫音まだ小さいもんな。」
「あぁ。ー・・誰かに預けるよ」
「誰か?光の両親、ど田舎にすんでるだろ。」
「保育所とか。小百合に調べさす。」
「そう?じゃあおいで、預けてから。」
「あぁ。」
遥くんと、響が歌って踊って王子さましてるのを見るのかー・・。前までなら何とも思わなかったけど、彼の素の姿を見てる分、変な気持ちになりそうだ。
光のインタビューみてるだけでも笑いそうになるのに。
「じゃあ、待ってるわ。」
「チケットは?」
「ん~、イギリス戦後にインタビューするじゃん?その時渡す。」
「了解。小百合、裏行くぞ」
「・・裏?」
「舞台裏。俺のスピーチで終わりだ。」
「私も行くの?!」
「ついてくるだけでいいし、舞台には立たなくていい。裏来いって言葉そのままだよ。日本語わかんねぇのか」
こいつー・・!
何で一言を百で返してくるのかなぁ?いつも。
普通にそのまま説明してくれればわかるじゃん。
本当に性格悪いっていうか俺様!!
小さな事で機嫌悪くなっちゃってさぁ。
心の底で、ひたすら彼の文句を言いながら、遥くんと別れて、舞台裏に向かった。