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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第13章 合縁奇縁

つけていたテレビを消して、紫音をベビーカーに乗せ、家を後にする。
どの番組も試合一色だった。中には、マークスに独占インタビューをしていた番組もあった。ハンソンと光は一回も今日のテレビに現れていない。
お互い、取材を受けるほど精神的に余裕がないのかな?
それとも、ただたんに精神統一を図りたいだけ?
お腹の子をどうするかー・・・。
そんな状況に陥ってる私が一番、己の精神統一をしなかればならないのにー・・・。
彼達には男の真意をいうのを常に見せられて、
そして常に驚かされている。
自分の身を犠牲にしても愛した人は守るー・・・。
それこそが真の男なのだろう。
そして、その“愛”を2人から受け取れている私は凄く幸せものだ。
中には誰からも愛されず“男”を知らないまま
自分の人生に幕を閉じる女性も少なくないというのにー・・・。
「紫音、いこっか・・・・。」
サッカー日和という事場が似合いそうなほどの晴天を見た。
季節のせいか、こんなに晴れていても
決して暑いことはない。
走り回って、激しい運動をする選手にはとてもやりやすい環境だろう。
イギリスの選手達も時差を乗り越えて、
万全だ!とマークスが言っていた。
日本代表が勝つのかー・・
イギリス代表が勝つのかー・・・
いや、柳沢や岸野くん、宮元くんが
個人としてイギリスに勝つのかー・・・?
それとも“個人と団体”として負けるのかー・・?
誰にも予想など出来はしない。
評論家気取りのコメンテーターも
皆口先だけでは良いことを並べるが、
結果を見て一気にそれを裏返す。
メディアとは時に仲間になり
時に自分にとってダメージを与える敵になる。
そんな憎さも、気の良さも
ピッチに立つものなら誰もが理解しているだろう。
マスコミという“組織”に踊らされる事なく戦ってほしい。
そう強く、太陽に願ってから
歩いてスタジアムに向かう。

