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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重
ーー「よし!出来た~。」
机の上に並ぶ数々の料理。
ほうれん草のおひたし、冷しゃぶサラダ
湯豆腐、旬菜の茶碗蒸しに、赤だしと白いご飯。
お味噌汁を朝食として出す事は結構あるけど
赤だしっていうのはー・・始めてかもしれない。
まぁ、茶碗蒸しにしろ何にしろ
野菜の味より、調味料の味の方が目立つ料理だから、食べれない事は無いと思う。なんて付き合いたての彼女みたいな事を思いながら、珍しくテレビの電源をつけた。
流れているのは、もう30年近く続いている番組だ。
テレビっ子じゃない私でも数えきれない程見ているだろう。
画面の左上に出る時刻はーー、今現在午前7時50分。
何回か起こして、
リビングに座る時間はー・・八時くらいかな。
「ちょうどか~。よし、起こそう」
と、リビングの扉を開けた時だった。
ーーー・・目の前に、可愛らしい寝癖をつけた蓮くんが現れたのは。
「あ、起きたん?」
「良い匂いしたから、なんか腹減って・・」
「今は7時50分。八時前やし起こしに行こうとしてたんよ。ご飯も作ってるから、早うおいで。」
「うん。」
低血圧なのか、少し愛想が足りないけども、まぁそれも別に"苛立ちを覚える"程ではない。
「うわーすげー。何時に起きたの?!」
「六時半くらいかな。」
「四時間位しか寝てねぇんじゃん。それで、これだけ飯作れるってー・・」
「女の人なら皆そうよ。」
「ないだろ~。俺の方が起きるの早い時も普通にあるし、ご飯も俺が起きたと同時に出来てる、って事はまぁない。」
「一人暮らし歴長いからね~。出来てしまうんかもしれへんわ。でも、そんな子も私は好きよ、かわいくて。ー・・まぁ、食べて頂戴。」
「いただきまーーす!」
勢いよく、茶碗蒸しの蓋をあけて、美味しそうに頬張る彼。なんか可愛らしく思えてきた。