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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重
"てかよく見ると野菜ばっかだね・・"
"あ、でも、このサラダ
ドレッシングかけるし俺食べれるわ"
"えぇ?!茶碗蒸しも何コレ?!
おもっきり旬菜の宝箱じゃん・・!"
"いや、嘘撤回。これうめぇ。"
なんていう独り言をぶつぶつと言いながら全部綺麗に平らげてくれた。
どうやら、私の勘は当たってたみたいだ。卵焼きの中にほうれん草入れたり、っていうあからさまな料理でもいいかなーと悩んだけど、こんなに喜んでくれるなら手間隙かけた甲斐がある。
「いやー完食!ごちそーさまでした。」
「はい。下げるから適当にタバコ吸ってて」
「今何時??」
「8時25分。」
「仕事?」
「九時過ぎからね。」
「私も九時から不動産と会わへんとあかんのよ。」
と食器を片付けながら何気なく言ってみる。
「どこまで行くの?」
帰ってきた言葉は意外なモノだった。
「新南。」
「え?!うそ、まじで?」
「何で、そんなに喜んでんの?」
「俺、九時過ぎから新南で撮影。」
「ーー・・迎えにきてもらうんやろ?
家帰らなあかんのちゃうん?」
「いや、前に、あそこは見たい店があるから
自分で行って自分で帰るって言ったんだよ」
「送っていくのは大丈夫やけど、帰りは迎えに行かれへんよ」
「なんでだよ?」
不機嫌そうに紫煙をくゆらせて、そう呟く。
「なんでってー・・私も、社会人やし。仕事がある」
「何時まで?」
「予定では、解散が3時。朝のね。」
「ー・・水商売?」
「そんな訳ないでしょう。普通の仕事よ。
でも、大きな仕事が2つ被さってるから話し合いとかで最近はそんな感じなんよ。」
と言ってみせるが、どうも信用してくれなさそうだ。
まず私が水商売してても、蓮くんに何の関係もないと思うけど。なんて事は口が裂けても言えない。
「ふ~ん。じゃあ行きだけお願いしてもいい?」
「それは大丈夫。使えるモノは使うべきよ。」
「ふっ、なんそれ!」
どこか男らしくタバコを灰皿に押し付けながら、少し笑われる。すごく私らしい回答だと思ったのに。
一夜限りの予定だった相手でも・・
自分は全く気がない相手でも・・
使える時は使えばいい。
所詮、捨て駒は捨て駒のままなんだから。
時期が来れば・・買い換えたらいい話。