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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第13章 合縁奇縁
“-・・本当に素晴らしい!先点取られても、取り返すのはー・・イギリスとここまでの試合を出来るなんて正直夢にも思っていなかったよ!”
“そうですね、いや~見てください。このミドルとカーブ・・・。これは、ハンソンと柳沢。まさにこの2人にしか出来ないモノですよ”
天高く、人差し指を上げて、
チームメイトに揉まれている彼。
そして、レフリーが笛を鳴らして、前半終了の合図を出したとき・・・恥ずかしそうな、だけど自信に満ち溢れている顔で私のほうを見て、先ほどの“人差し指”でハートを描く行為をしてみせるー・・・。勿論、サポーターがそれに気付いて悲鳴をあげることはない・・・でもそんな事をしてくるなんてー・・想像さえもしてこなかったし、一気に光のイメージが良い方向で壊された。
こちらを見て、いつもの笑顔で微笑むくらいかな?と思ってたのにー・・ハートを描くなんて。何かアプローチの仕方間違ってるような・・・。
どうしようもないくらい、可愛く、そして愛しく思えた。
うぬぼれる事が許されるのならば、
あのハートは紫音へのモノじゃなく私へのモノだと思いたい。
選手達が水を飲み干し、
ピッチから室内に入ったとき、
不意に後ろの席から音がして振り返る。
「あ、遥くん!」
「やっぱり来てるよな~」
「そりゃそうよ。」
「久しぶり」
テレビと同じ衣装を着ている、遥くんと、
私に“久しぶり”と声をかけてきた響。
驚きばかりが私を襲う。
響が、私に“久しぶり”なんてー・・!
「紫音~また洒落た格好してよぉ」
と優しい笑顔で、そんな事を呟きながら私の腕から遥くんの腕に移動した、我が子を、まるで浅草響とは思えないくらいの“優しそうな顔”で見つめていることにも・・・
「身体大丈夫か?」
「え?あ、うん。あのときはありがとうね」
“身体大丈夫か?”って聞いてくることにもー・・
正直、度肝を抜かれた。