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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第13章 合縁奇縁
そして、後半35分ー・・。
思わぬ展開になった。
松永さんの願い通り、今日本は、最高のプレーをしている。本望だった縦パスが通り、フリーの光にボールが渡ったのだ。
ロスタイムを含めないで計算して、残り10分。
サポーターもテレビの前の視聴者も一番興奮する場面。このままいけば、入ればー・・勝ち越し!!
喜んでいいのかはわからない。私は人生がかかっているのだからー・・。でも、必死にプレーをする柳沢には、自分の事はさておき、とりあえず笑ってほしいと心底そう思っていた。彼が勝利を手にして、笑ってからでいいんだ。深く考えて、話し合いの場面を作るのはー・・。
だからーー・・
本当に勝ってほしい!!
思わず立ち上がって応援してしまう。
残り10分。アディショナルタイムが何分になるかなんて分からないけど、そんなにバンバン攻撃を仕掛けられる分数ではないのは誰でも分かること。
だからー・・全力で、
一つの攻めを貫き通してほしい。
「頑張れ~!!柳沢~!!」
聞こえるはずないのに、拳をつくって、お腹の底から思い切り声を出す。
観客の声量もはじめの時より大きくなっているー・・。
日本ではお馴染みの曲を歌っているとおもったら
悲鳴に近い、声援ー・・なにがなんだかわからない。
でも、それがサポーター達の
心の声なのは間違いないのだ。頑張れ。