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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第13章 合縁奇縁
"よし!コインローの足にあたった為、日本コーナーキック獲得です!!"
"キッカーは?!誰だ?!"
"あ~福重ですね。ということは、柳沢にボールを入れ込んでもらうつもりなんでしょう。"
"いやーでも柳沢への守りが半端じゃないよ。何人が壁作ってる事かー・・。"
"だからといってフリーになっている選手が居るわけではないですし、これは難しいですねぇ"
代表達が、険しい顔でユニフォームを捕まれたり、つかんだりしている。冷静なのは福重くんだけだ。
左サイドからのコーナーキック・・。どうなる?
ネットから離れさせる様に打つのか、
もしくはネットに近付けていくのかー・・。
キーパーソンの光は、ネットのど真ん中にいた。
横にはー・・ハンソンの姿が見える。
そして、後ろには名前はわからないけど、若そうな選手がいた。たぶん、私と同じ年か私より年下だ。
雰囲気が、そう教えてくれる。
なるほどねー・・後半15分で選手交代をして
若い選手を二人いれたのは、こういう怖さを持ち合わせていない事を思ったからか。
若い人は、怖いものしらずだ。本当に。
目の前の相手にリスペクトは愚か、それ以前に、スターだから潰したい、スターだから自分が攻撃を阻止したい、そういう成り上がりたいという気持ちが強いと思う。
その怖いもの知らずな部分がどうでるかー・・。
「頑張って・・日本。」
小さく言った、その瞬間。
審判が手をあげたと同時に、福重くんが、ネットに近づくボールを打った。
そしてー・・柳沢は、後ろから若い選手に倒される。
福重くんは、柳沢を狙っていた。だけど、あまりに守りが多すぎて、それを受けとる前に、彼が倒れてしまったのだ。
ボールは、相手にとられて、
一気に守りから攻めにプレーをチェンジする。
その早さは世界でも五本の指にはいるだろう。
日本は、その切り替えの早さを弱味としている。
遅いんだーー・・、
だけど、そんな事はどうでもいい。
気になるのは、倒れて動かない柳沢。
絶好のチャンスを生かそうとした所で、笛がふかれ、試合は一時停止になった。審判が、柳沢に駆け寄っている。
イギリス陣は一度、ボールを外に出して、
水を飲んだり、監督と喋ったりしていた。