この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重
「俺が運転していくよ。」
「いいよ。私、新南の奥の方までいくから。降ろしやすいし。」
「俺も奥まで行くよ。何から何まで悪いから。まぁ後ろでも座って寝てて。新南入り次第起こせばいい?」
「ー・・じゃあ、それでお願い。」
半ば強引に後ろに乗せられる。左ハンドルの扱いに慣れている所からして、愛車は外車なのだろうか?
「やっぱイギリスの車かなぁ」
「私、ドイツは好きだけど
ドイツ車は、あからさま過ぎて好きちゃうんよ。」
「あからさまって?」
灰皿の蓋をあけて、窓を開けるー・・。
外の風は、ほのかに冷たくて心地が良かった。
ジリッー・・という、煙草に火がついた時の音が大好きな私。マニアックなのは言う間でもない。
「有名な車種多いでしょ?でも、あれって実際はピンからキリまであるのに、ブランドに拘ってる人が多いっていうか・・。あからさまなお金持ち!って感じがして、私はタイプじゃない。」
白い煙を、外に吐き出しながらそう告げる。
これは真実だった。周りの皆は、私が車を買うってなった時に、よってたかってベンツやらBMWやらを進めてきたが、どうも気持ちが乗らなかった。
ジャガーも有名だけど、どこか違うー・・。
のってる人は比較的に少ないし、何といってもお金持ちオーラは悪い意味で発揮されていないと思う。
良い意味では"上品"とか、あるだろうけど
"気取ってる"などというネガティブな言葉は言われた事がないし、聞いたこともない。
そんな考えが根本にあって
私はイギリス車を購入した。留学先もイギリスだったしね。
「小百合ー」
「ん?」
煙草を消しながら、聞き返す。
「部屋番号覚えたから。」
「ストーカー発言ちゃいます?」
「ちげーし。」
「いや、絶対そうやんね。」
「隼人の事思い出す前に俺の事思い出せって事だよ!」
「あ~隼人ね。」
すっかり忘れてた。
私にとって隼人の重みは、そんなもんだったのだろうか。だからこそー・・あんな小さな事に怒ってしまったのだろうか?それだとしたら、申し訳ない以前に恥ずかしい。
確かに、いやらしい心にはむかついたけど
今まで美味しいご飯に連れていってもらったり
文句ひとつ言わず遠方につれていってもらったりー・・
何だかんだしてくれてたのにー・・。