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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重


「俺が運転していくよ。」

「いいよ。私、新南の奥の方までいくから。降ろしやすいし。」

「俺も奥まで行くよ。何から何まで悪いから。まぁ後ろでも座って寝てて。新南入り次第起こせばいい?」


「ー・・じゃあ、それでお願い。」


半ば強引に後ろに乗せられる。左ハンドルの扱いに慣れている所からして、愛車は外車なのだろうか?

「やっぱイギリスの車かなぁ」

「私、ドイツは好きだけど
ドイツ車は、あからさま過ぎて好きちゃうんよ。」


「あからさまって?」

灰皿の蓋をあけて、窓を開けるー・・。

外の風は、ほのかに冷たくて心地が良かった。


ジリッー・・という、煙草に火がついた時の音が大好きな私。マニアックなのは言う間でもない。


「有名な車種多いでしょ?でも、あれって実際はピンからキリまであるのに、ブランドに拘ってる人が多いっていうか・・。あからさまなお金持ち!って感じがして、私はタイプじゃない。」

白い煙を、外に吐き出しながらそう告げる。
これは真実だった。周りの皆は、私が車を買うってなった時に、よってたかってベンツやらBMWやらを進めてきたが、どうも気持ちが乗らなかった。

ジャガーも有名だけど、どこか違うー・・。
のってる人は比較的に少ないし、何といってもお金持ちオーラは悪い意味で発揮されていないと思う。

良い意味では"上品"とか、あるだろうけど
"気取ってる"などというネガティブな言葉は言われた事がないし、聞いたこともない。


そんな考えが根本にあって
私はイギリス車を購入した。留学先もイギリスだったしね。


「小百合ー」

「ん?」


煙草を消しながら、聞き返す。


「部屋番号覚えたから。」

「ストーカー発言ちゃいます?」


「ちげーし。」

「いや、絶対そうやんね。」



「隼人の事思い出す前に俺の事思い出せって事だよ!」

「あ~隼人ね。」


すっかり忘れてた。

私にとって隼人の重みは、そんなもんだったのだろうか。だからこそー・・あんな小さな事に怒ってしまったのだろうか?それだとしたら、申し訳ない以前に恥ずかしい。

確かに、いやらしい心にはむかついたけど
今まで美味しいご飯に連れていってもらったり
文句ひとつ言わず遠方につれていってもらったりー・・

何だかんだしてくれてたのにー・・。
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