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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第13章 合縁奇縁
そして、テレビで、先ほどのリプレイが流れる。


「うわ、まともに頭が腰に入ってるな」

「え?腰ー・・?」


写し出されている場面に釘付けになった。確かに、若いイギリス代表選手の頭が、彼の腰に入っている。わざとでは無さそうだけど。気合いが入りすぎた結果か?

普通なら、少しの痛みですむだろう。

でも今はー・・元々の怪我もあるのに。同じ場所を頭突きされるなんてー・・。


もう一度、ピッチを覗き込む。

保険医やトレーナーからオッケーのサインが出る事はない。会場も、先ほどの熱気とは一変、静けさが溢れていた。同点だから時間稼ぎをする必要はない。

だからこそ、立とうとしない。

いや、立てない彼の状態を、本気で心配しているのだろう。


「えっー・・ちょっ・・と・・」


うつ伏せに倒れて、腕で顔を見えない様にしているから表情は読み取れない。

だけど、腰をさわられる度に、

強く拳をつくっているのが印象的だった。



「あいつー・・大丈夫なのかよ?」

遥くんと響も何かを感じたのだろう。
こちらまで、歩いてきて、心配そうにピッチ上の出来事を見つめる。

そして、タンカが運ばれてきた。



"たった今!ーー・・今、たった今!

柳沢が・・奥へ運ばれて行きました!!

自分で動く事さえできず、
トレーナーの力を借りて、タンカに乗せられましたが、顔を見る事はできませんでした"



"柳沢が自分で動けないって相当だよー・・。プレミアムリーグは結構身体を激しくぶつけるから、それなりに強い体格に出来上がってるはずなんだよ。今までの試合を見ていても、あれくらいの頭突きなら気にしないそぶりをしてた筈だー・・"


"確かに。"



"あんな彼を見るのは、はじめてだよ。
今までで一番ひどいラフプレーと言われてる、プレミアムリーグ前の親善試合の時の腰へのパンチでも、倒れ込んで動けないって事は無かったからね"




ーー・・そのパンチがあったから

今、彼はそれほどの力じゃないと思ってる頭突きで、立てなくなったのよ!!



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