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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第13章 合縁奇縁
"おーっと!ミスライントにイエローカードが出されました!"
"イエローカードォオ?普通はレッドじゃないのか!本当に、この主審は何を見てるんだ!FIFAに金返せ!"
松永節が炸裂する。
ーー・・まぁ、普通ならレッドよね。
さっきから、あまりにイギリス贔すぎるわ、この人。
携帯を取り出して、彼に電話をするが出ることはなく、そのまま留守番センターに通された。
ーー・・今どうなってるの?全く想像がつかない。
イギリスが日本にボールを返したけど、主審の判断に会場はブーイングの嵐に包まれている。
だけど、この場面で前の事を引きずらないのがプロだ。ミスライントも、日本代表も各自、色々な思いがあるだろうけど、それを表す事なく、残りのロスタイム8分に挑んだ。
私も、遥君の腕を握りながら、試合を見つめる。
紫音は、響に抱かれて、心地がよかったのか熟睡していた。ー・・誰でも寝るのね、この子。
だけど、今は、まるで紫音の様に
誰かの温もりを感じていたい。
そうじゃなきゃー・・結果を受け止められない。
強く、強く、
彼の太い腕を持った。
だけど、柳沢は予想以上に大きな存在だったのだろう。
代わりに投入された選手では、全く歯が立たず、次々とパスを通されている。
いとも簡単に、ゴール付近まで持っていかれた。
そこはやっぱり、個人の力がモノを言う。
わたしたち、日本代表サポーターが驚く暇もなく、ハンソンからのクロスに気付いたマークスがヘディングで二点目を獲得した。
ーー・・負ける。
誰もが、そう思い。
そして、誰もが、
想像通りの結果に、心底悲しんだ。