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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重
「謝っとこ。」
「はぁああ?!」
と耳に響く声で叫ばれて、ギロリと、バックミラー越しに目が合う。
「え、なに?」
「何?じゃないよ!俺が、思い出さないでって言った矢先に、何でもう一回仲良くしたい的な趣旨の事言っちゃってんの?」
「いや、離れ方があまりにも酷すぎたなぁ、と反省の心から。」
「関係ないから。人間離れたらそれでいいじゃん?特に仕事場で会う様な奴でもないんでしょ?それならなおさら!謝る必要とかある?!」
「人としてね。」
「ーー・・・なに、俺と相性合わなかったの?」
「何の相性?」
「セックス。」
「ーー・・へ?普通に気持ちよかったよ。相性良いな、って心底思ったけど・・」
「それなら、別に隼人とか、今更どうでもよくね?」
「どうでもよくは無いよ。人として、ダメだった所は謝らんと。」
「意味わかんねー。」
明らかな怒りをぶつけられて、少し戸惑う。
蓮くんの本心はー・・?こんな事言って、惚れさせて、あとは捨てようって?私に捨て駒になれってー?
「一夜で惚れる様なバカじゃないやろう?」
「ーーー・・っ」
「惚れたん?私に。」
「わかんねー。だけど、良い女だな、とは思った。
料理での気遣いとかもさ。俺が野菜嫌いかもしれねぇからあんな感じの味付けばっかのやつを作ってくれたんじゃねーの?」
「代行の時もそう。お前がお釣りいらないって言う性格なのがヨメた。今時俺より年下で、あれ位の距離で代行使います!なんて素直な奴正直いないし。」
「気が利くしー・・常識あるなぁって。
裏でどんな事してるのかは知らないけどさ。」
ゴホンゴホンっというわざとらしい咳払いが車内に響く。発したのは私以外の誰者でもない。
一夜で、惚れた?私に?
笑わしてくれる。どんなに単純なんだ。
響くんが電話越しで言っていたあの言葉。
"またバカみたいな女捕まえてー・・"
ーー・・案外、蓮くんは惚れやすいのかも。
だから響くんの言ってた事は間違ってなかったりして。
「まぁでも、俺も、さぁの事まだ知らないし
さぁも俺の事知らないし、付き合いたいとかじゃないよ。このまま終わらすのは勿体ないって思った。・・だから、撮影現場まで送ってっていうとんでもないお願いをした。」