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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第14章 確かな愛
周りの全ての人の優しさを知って、
あたたかな支援の有り難みを知ったその日から
少しだけ、強くなった様な気がする。
そんなことを思ってみた二月の九日。
まだまだ肌寒い季節が続いていた。暖房ばかりだと身体に悪いため、時たまリビングの窓をあけて換気をする様に心がける。
紫音と二人で静かだった短い生活も今日で終わり。
22歳の誕生日を迎えた、今日。
彼は退院したのだ。
柳沢の誕生日も、一月だし、
私たち二人共、遅生まれなのね。
「はぁ~やっぱ家が一番だわ!」
「はは。そうね。本当に。」
「これ洗濯物だから、あらっといて。」
「はいはい。」
「で、俺、二時間後記者会見だから、
テレビ局まで送って行ってね。」
「記者会見?何の?」
「結婚報告」
「はぁああ?!聞いてないんやけど!」
「当たり前じゃん。言ってねぇし。」
クラクラ~と床に倒れそうになった。
言ってねぇしってー・・そうじゃないでしょ!
「今にも貧血起こしそうな顔してんぞ」
「当たり前やろ!
もうっ、勝手に全部決めて!」
「あんたに許可とる必要あんのかよ」
「ある!大あり!」
「ー・・いや、ねぇな。俺の目の前でハンソンに抱きつく様な女に許可をとる必要はない。」
「またそれ言う~。あれは流れでしょう?」
「知らね~聞こえね~。」
「ほんまにー・・こどもか!っての。」
ボストンバックからスウェットやジャージを取り出して、洗濯機の中に放り込んだ。
光はー・・インターネットで、子ども服を見ている。
"男の子の確率が高いですね"とお医者さんに言われた子とを伝えたその日から、ずっとこうだ。
紫音のベビー服もたくさんあるから、買わなくていい!って痛いほど言ってるのに、全く聞く耳を持ってくれない。
やっぱり、変なところにお金を使うな、この人は。
本当の夫婦になった今、
家計を管理するのだって出来るんだから・・!
絶対に、この人の子どもに対する無駄な消費癖をなくしてやる!