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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第14章 確かな愛
「あ、記者会見、録画しとけよ。」
「嫌よ。」
「何で?」
「恥ずかしいやん。絶対嫌。」
「変わってるな。後悔するぞ。」
「しません。」
「ったく頑固なんだから。」
「あんたにだけは言われたくないわ!!」
一気に賑やかになったリビング。
この感じ、別に嫌いじゃない。
「第一な、あんた、こんな時期に結婚報告したらワールドカップで結果残されへんかった時に叩かれるで?!幸せムード満載やからやーとか、変な因縁つけられて」
「うるせぇよ。勝つからいいんだよ。」
「勝つ?優勝ってこと?」
「現実的に考えろ、優勝は無理・・だろ。」
と笑う彼は現実主義者。
確かに、いくら監督が変わって強くなったとはいえ、やっぱり他の国よりは遅れをとっているのが日本のサッカーだ。
海外組に全てを委ねてる雰囲気がある。
でも、海外組だって正直ピンキリなわけよ。
光みたいに最前線で活躍している人もいれば
無名チームでも、スタメンをとれない人だっている。
いくら一人が頭飛び抜けてるほどの才能を持っていたって、何かあった時に必要なのは個々の力とチームのトータルの力になる。
優勝はー・・まだ難しいだろう。
しかもね、グループが、もう最悪。
世界が注目するほどの強豪国ばかり。
"悪魔のグループ"と見出しをつけられた。
スペイン
ブラジル
イギリス
日本。
なんかねー・・もう、グループリーグ突破出来るだけでもすごいんじゃない?って思うよ。
テレビ関係者も、口をそろえて言っている。
"この中で勝ち上がって
16強入りできたら、実質
FIFAランク上位ってことだからね"とーー・・。
私もそう思う。
彼が今までもらってきたトロフィーの埃を取りながら、珍しく、ワールドカップのことを考えていた。