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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重

彼はよっぽど運転が上手いんだろう。
静かで、とても落ち着く。まるで、部屋がそのまま移動しているみたいだ。


「なんか、めっちゃ褒められたんやな・・。
ありがとう。」


「さぁが彼氏いらねーよ!っていう考えなのも知ってるし、別に熱く熱血に攻めたりはしないから。ただ、これも縁だろうし、昨日今日限りでは終わらせたくない。」

「それは私も同じ考えよ。蓮くんみたいに、美味しそうにご飯食べてくれたら作る甲斐があるから。」

「じゃあ電話番号交換だね。メールアドレスも。」


"あいよー、よろしく"と私に向けて投げられたスマートフォン。登録しろって事なんだろうけど、あくまでも有名人なのにー・・警戒心が無いというか何というか。


「勝手に登録していいの?」

「うん。パスコードは5555。」



「ーー・・すごい数の着信やけど・・。」


「あー多分、響だろうな。見ていいよ。」


着信27件という、表示を押すと最新順に着信履歴が表れる。さすが、友達。彼の言う通り、最新着信と一番古い着信は響くんからだった。

「響くんは二件だけ。」


「え、何件きてんの?」



「27件。」

「ーー・・はぁ?誰?!」


「非通知が10件。」
「それは仕方ないから次~。」

「みゆこ、と優菜が五件づつ。」
「どうでもいいから次~。」

「一件はマネージャー。残り四件は佐由子。」
「佐由子ー・・あぁ。あいつ昨日誕生日だったわ。俺がよくいくクラブの女の子なんだよ。」

「へぇ、そうなんやね~」

私は蓮くんに恋愛感情なんて一切無いため、別にヤキモチを妬いたりしないし、女と連絡取る事が日常茶飯事であっても、キャバクラやクラブにいく事が日常茶飯事であっても何とも思わない。

そんな感情が表出るかの様に気の抜けた返事をしながら、自分のメールアドレスと番号を登録した。


「菊乃小百合ではいってるからね。」

「ありがとう。」


「うん。じゃあ、お言葉に甘えて寝てもいい?」
「どうぞ。起こすから安心して。」


「おやすみ。」


「おやすみ、小百合。」


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