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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第14章 確かな愛

"スタンバイお願いしまーす!"
"完了しました!!"
"よし、でて下さい!!"
野太い声が各地に響き渡り、私からのプレゼントであるグレーのスーツを着こなした彼は広い背中を私たち二人に見せながら、ゆっくりとー・・着実に歩きだす。
そして、テレビ画面に目を向けた。
無数のフラッシュで、思わず目をつぶってしまいそうになる。
彼一人の会見ー・・。マネージャーや、協会の人達は舞台には上がらず、袖で見守るつもりなのだろう。
凄い根性だ。私なら、ハンソンと比べられて、それをわざわざ意地悪な文章に直して質問してくる記者達の目に耐えられないー・・。数をこなしてきてるから、身に付く精神力なのか?それとも、ハンソンに勝ったという真実から身に付いた精神力なのかー・・?
確かに、椅子に腰かけた時、少しだけ彼の顔が歪む。腰・・。やっぱり、まだ痛むんだー・・。
「まずはー・・柳沢さんからのコメントをお聞きください。それから・・」
「えー、予定通りの順番で質問をお願いします。時間が残りましたら、柳沢さんご本人に選んでいただき、その方からの質問に答えたいと思います。」
「この会見はあくまでも、結婚会見でありますので、関係の無い質問はご遠慮ください。」
司会者の声がマイクを通して、私たちの耳に届けられた。一瞬で静かになるー・・。
ごほんっという咳払いをしてから、
小さくー・・彼の薄い唇が開き、言葉を紡ぎはじめた。
「この度は、急な会見申し立てだったのに関わらず、これだけの数皆様に集まって頂き、本当にありがとうございます。」
「私、柳沢光は24歳になる四ヶ月前に一般人女性の方と正式に結婚致しました。彼女は自営業者で、この町出身ではありませんがー・・地元特有の方言がとても似合う心の広い、強い女性です。」
「そして、有りがたい事に新たな命を授かる事が出来ました。現在はー・・妊娠、三ヶ月になります。」
ここで、どよめきが上がる。
四ヶ月前ー・・つまり、プレミアムリーグ優勝時から結婚していたという真実と、まさかの妊娠しているという真実がダブルパンチで効いたのだろう。
「そしてー・・もう、九ヶ月になる子供も居ます。この子は・・僕達二人と血がつながっていません。」
「「えぇ!!」」
「おい!ちゃんとメモしろよ!」
「写真撮れ!見出しはこれで決定だ!!」

